第7回
監修・執筆: ファイナンシャル・プランナー(認定者)
島田昌夫

●繰り上げ返済は、どんなとき有効か?
このコラムは、住宅ローンや税金に関する私の相談事例をもとに、毎月耳よりな情報をお届けしていきます。(1)上手な住宅資金づくり (2)効率的なコストカット方法 (3)税制関連の最新情報 といった切り口で適宜ご紹介していく予定です。皆様の家づくりにお役立ていただければ幸いです。


Q
思いがけずまとまったお金が手に入りました。住宅ローンの負担感を少しでも和らげるために、この余裕資金を使って一部繰り上げ返済をしようかどうか迷っています。注意点を教えてください。(会社員・40歳)

A
一部繰り上げ返済(内入れともいいます)とは、毎月返済やボーナス返済とは全く別に、返済をすることです。たとえば、100万円を繰り上げ返済した場合には、この100万円全てが元本の返済に充てられ、この100万円に対してかけられる予定だった利息は払わなくていいことになります。これが繰り上げ返済の大きなメリットです。特に元利均等返済方式の場合、返済初期は利息という「レンタル料」の占める割合が高く、元金の占める割合が低くなっています。したがって、繰り上げ返済はできるだけ返済初期に行うのが得策です。また、ローンを複数抱えている場合は、多くの「レンタル料」を発生させる「金利の高いローン」や「返済期間の長いローン」を優先するのが原則になります。 ただし、一部繰り上げ返済は決して万能薬ではありません。実行する前に以下の3点には特に注意しておきましょう。

(1)将来の経済情勢やライフプランとの関連
預貯金の利息がほとんどつかない一方で、住宅ローンの利息は確実に重くのしかかってくる。そんな今だからこそ、繰り上げ返済は生きてきます。前提条件である「超低金利」や「デフレ」がこのままずっと推移するのかよくお考えください。どんなライフプランをお持ちなのかもポイントです。「300万円繰り上げ返済してローンはラクになったけれど、預貯金ゼロ」ではナンセンス。余裕資金があるとしても、「娘を私立のエスカレーター校に通わせたい」といった計画があるなら、学費分の資金は確保しておくことをおすすめします。

(2)手数料等のチェック
公庫融資など公的融資の場合は、民間とは異なり繰り上げて返済できる金額は、100万円以上という条件があります。また、ほとんどの民間金融機関で数千円から数万円の手数料がかかりますので、必ず確認してください。

(3)公庫融資の2段階金利やゆとり返済との関係

公庫融資を受けた場合、2段階金利となります。10年目までの金利と11年目以降の金利が異なり、11年目以降は金利が上がる仕組みです。当然返済額も上がるようになっています。が、返済開始時点から10年が過ぎるまでは必ず低い方の金利が適用されることが決められているため、何度繰り上げ返済しても、11年目以降の金利アップが前倒しになることはありません。この点はご安心ください。 これと混同しやすいのが、公庫の「ゆとり返済」(民間ローンでは「ステップ返済」)です。「ゆとり返済」とは返済当初の5年間だけは50年の返済とみなして計算することにより、月々の返済額を少なくする返済方式のこと。すでに廃止されましたが、あなたがこの制度を利用している方で、まだゆとり期間中の場合には要注意です。というのは、繰り上げ返済を行うと、その分ゆとり期間が前倒しになり、返済額大幅アップが思いのほか早く近づいてくるケースがあるからです。公庫取扱い窓口に一度は償還表を持参して、実際にどうなるのか問い合わせてみましょう。次回は、繰り上げ返済のもうひとつの大切なポイントについてご紹介します。

繰り上げ返済のシミュレーションがしたいときは
http://www.jyukou.go.jp/yusi/hensai/index.html
point6 繰り上げ返済を行うときは、ライフプランとの関係やタイミングをよく考えて行うのが賢明。

 
公庫を中心とするローンの組み方

※本コラムの内容は、2003年10月現在のものです。本掲載記事を許可なく転載することを固くお断り致します。
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