第16回
監修・執筆: ファイナンシャル・プランナー(認定者)
島田昌夫

●公庫買取型の民間住宅ローンって?
このコラムは、住宅ローンや税金に関する私の相談事例をもとに、毎月耳よりな情報をお届けしていきます。(1)上手な住宅資金づくり (2)効率的なコストカット方法 (3)税制関連の最新情報 といった切り口で適宜ご紹介していく予定です。皆様の家づくりにお役立ていただければ幸いです。


Q
最近、広告でよく見かける「公庫買取型の新型住宅ローン」は、扱う金融機関により金利が異なるのが気になります。詳しく教えてください。(会社員・27歳)

A
最近マスコミでは長期金利の上昇気配が報じられています。そんな今、利率の低さだけに目を向ければ、変動金利や短期固定の住宅ローンは非常に魅力的です。しかし、本連載では家計費の中で住居費をあらかじめ確定しておくことの大切さから、基本的には長期固定金利をおすすめしています(下記★参照)。2003年10月にスタートした「公庫買取型の民間住宅ローン」は、住宅金融公庫廃止(下記☆参照)に伴い、従来の公庫融資の受け皿商品として開発されたものです。最長35年約3%という長期固定商品であり、検討に値するローンといえます。

主なメリット
(1)2,000万円を30年固定3.20%元利均等返済・ボーナス払いなしで借り入れた場合でご説明します。同じ「長期固定」でありながら、従来の公庫融資のような2段階固定金利ではありません。したがって10年目以降(一回だけですが)金利が上がり、それに伴い返済期間中返済額がアップすることがありません。今融資を受けるのであれば、長期金利が6%になろうが8%になろうが、こちらの金利は一定、つまり返済額も完済時まで一定。月々の支払いが8万6000円程度です。
(2) 融資保証料(従来の公庫融資では、融資額2,000万円、元利均等返済で返済期間35年の場合、約44万円)が無料で、繰上げ返済手数料(民間住宅ローンの場合5000円から50,000円程度・金利タイプや繰上げ返済額により異なる)も0円です。
(3) 「新型ローン」では最高5,000万円まで融資が受けられます。従来の公庫融資では年収800万超のサラリーマンの場合、所要資金の5割までという制限がありましたが、こちらは建設費用や購入費用(消費税を含む)や2年以内に取得した土地(借地可)の購入費用あわせて8割まで借りられます。
(4) 耐久性や、断熱性能などについて公庫独自の基準をクリアしているかどうか外部検査機関の検査が義務付けられており、住宅の品質に信頼を持つことができます。ただし、ご相談者のご指摘にあるとおり、2.98%から4.15%(2004年6月適用分)までと金融機関により融資利率にバラつきがあります。(詳しくは、http://www.jyukou.go.jp/head/site_policy_index.htmlを開いて「新型住宅ローンの融資金利はこちら」をご参照ください。)これは商品の仕組みから来ています。

仕組み
従来、民間金融機関が「長期・固定・低金利」のローン商品を提供するのは困難でした。20年、30年の間には必ず金利が上昇するため、利ザヤ(金融機関にとっての差益)が取れなくなる可能性があったからです。その一方、従来の公庫では郵便貯金で集められたお金や税金を融資の元手にしていましたので、いわば利益度外視で「長期・固定・低金利」を実現してきました。これに対して「新型ローン」では、住宅債権の証券化という手法が用いられています。(下図参照)そこでは公庫(廃止後は独立行政法人)は直接的な貸し手ではなく、間接的にバックアップする役割に変わっています。

融資利率の違い
新型ローンの利率は、大まかに分けると(1)証券の利回り+(2)公庫が事業運営するための費用+(3)各民間金融機関の取り分で決められます。(1)と(2)はどの金融機関が扱おうと共通ですので、金利の違いは(3)各民間金融機関の取り分の違いということになります。つまり、各金融機関独自の判断で金利の高低を決められるわけです。ここが、従来の公庫と多く異なる点です。

注意点
(1) 約3%で35年固定は好条件ですが、返済期間が長ければ長いほど利子が増え、総返済額が膨らんでしまいます。サラリーマンであれば少なくとも定年前完済を予定して短めにローン設計しましょう。
(2)検査費用は従来の公庫融資では無料でしたが、「新型住宅ローン」では有料(2万から3万円)です。(詳しくは、http://www.jyukou.go.jp/head/site_policy_index.htmlを開いて「検査機関の問い合わせ窓口をご参照ください。)
(3)実は、同じ証券化という手法を用いることにより「長期・固定・低金利」の住宅ローンを実現した民間金融機関(グッドローン等)も存在します。このほかにも、民間のキャンペーンで「長期・固定・低金利」商品が提供されることもあります。住宅ローンは結婚相手を選ぶような気持ちで、常に視野を広く保ちシビアに選ぶことをおすすめします。

「公庫証券化活用による新型住宅ローン」について詳しく知りたいときは
http://www.jyukou.go.jp/support/index.html
★詳しくは、バックナンバー第6回「変動金利か固定金利か」をご覧ください。
☆詳しくは、バックナンバー第7回「住宅金融公庫は今後どうなる」をご覧ください。

point16 「新型ローン」は「長期・固定・低金利」で家計における住居費の確定に役立つが、あくまでも選択肢のひとつ。

 
新型住宅ローンの仕組み


※本コラムの内容は、2004年7月現在のものです。本掲載記事を許可なく転載することを固くお断り致します。
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