第20回
監修・執筆: ファイナンシャル・プランナー(認定者)
島田昌夫

●住宅ローンと教育費【2】
このコラムは、住宅ローンや税金に関する私の相談事例をもとに、毎月耳よりな情報をお届けしていきます。(1)上手な住宅資金づくり (2)効率的なコストカット方法 (3)税制関連の最新情報 といった切り口で適宜ご紹介していく予定です。皆様の家づくりにお役立ていただければ幸いです。


Q
前回質問した者です。住宅ローンを組む前に子どものために教育ローン等でどのくらい費用がまかなえるものなのか、あらかじめ知っておきたいと思います。具体的に教えてください。(会社員・29歳)

A
今回は教育資金を貯める方ではなく、借りる方をご紹介していきます。ただし、あくまでも現時点での検証です。10年後や15年後も今と同じように教育ローンや奨学金を利用できるかどうかは、なんとも言えません。また、親の年収制限等が求められるため、誰もがいつでも借りられるわけではありません。教育資金源が確保できたと思い込み、住宅ローンの借入額を安易に増やすようなことは、決してなさらないでください。むしろ教育ローンに関する情報チェックが親として常日頃大切なことをマスターして頂きたいと思います。それではまず、利率等で有利な公的教育ローンからご紹介していきましょう。

【1】公的教育ローン

(1)教育一般貸付
いわゆる「国の教育ローン」です。2004年11月現在1.7%と言う超低金利。しかも無担保で最長10年借りられます。しかし、最近は年収制限が厳しくなってきました。世帯の年間収入が給与所得者(サラリーマンや公務員の方)は990万円以内、事業所得者(自営の方)は770万円以内という制限(※)です。「世帯主の収入が」ではなく、「世帯の年間収入が」であることにご注意ください。
また、同居の家族の年収をプラスして判断されますので、共働きのサラリーマン夫婦でこの990万円を超過してしまう場合には利用できません。(なお、下記の(2)と(4)については年収制限はありません。)
(2)郵貯教育貸付
あらかじめ教育積立郵便貯金を続けておけば、(1)とは別口で200万円まで借りられます。
(3)年金教育貸付
厚生年金または国民年金の加入期間が10年以上ある方は、(1)とは別口で年金福祉協会のあっせんを受けることで貸付を受けられます。利率や年収制限の条件は、(1)と同じです。
(4)財形教育貸付
財形貯蓄をしている方の場合は、(1)より若干利率が高いものの雇用・能力開発機構から「財形教育融資」を受けられます。なお、利率(2004年11月現在2.17%)は財形住宅融資と異なり変動ではなく固定です((1)(2)(3)(4)について詳しくは下表をご参照ください)。

【2】民間の教育ローン

(5)都市銀行などの民間教育ローン
こちらは公的融資よりも利率が高めです。ただし、公的融資が高校生以上を対象としているのに対して、民間の教育ローンの中には幼稚園や小中学生も対象としているものもあります。

【3】奨学金および奨額融資

(6)日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金
教育ローンが親に返済義務を課しているのに対して、奨学金は貸与された学生が社会人になってから返済するものです。奨学金といえばかつては旧日本育英会から支給されるものが代表的でした。しかし、同会の事業も「構造改革」により独立行政法人・日本学生支援機構に引き継がれました。利用する側から見ると、高校や大学、専門学校等に在学する学生を対象とする公的な奨学金制度という点で変わっていません。無利子と有利子の二種類あり、第一種奨学金は無利子で借りられます。ただし、「特に優れた学生及び制度で経済的理由により著しく修学困難な者に貸与する」という条件が課せられています。一方、第二種奨学金は有利子で利率0.7%(2004年11月現在)。第一種より「ゆるやかな基準」によって選考された者に貸与されます。これらはいずれも年収制限があります。申し込みも学校によって異なるので、志望校に一度問い合わせることをおすすめします。
詳しくはhttp://www3.jasso.go.jp/04saiyou/index.htmlをご覧ください。
(7)各大学の奨学金制度や奨学融資制度
大学が募集し融資を行う一般的な奨学金制度とは別に、奨学融資制度があり、最近注目されています。これは、大学と提携している金融機関が貸し手となって学生本人に一般の教育ローンよりも低い利率で直接貸し出す制度です。連帯保証人を必要とするケースや大学が保証人になってくれるケースなどさまざまです。さらに、このほかにも地方公共団体(都道府県・市区町村)や民間育英団体が運営する奨学金制度は少なからず存在します。インターネットなどを通じて一度調べられてはいかがでしょうか。
※申込人は基本的に世帯主とされており、その世帯主が事業所得者であれば同居の家族の年収を合わせ770万以内かどうか、給与所得者であれば990万以内かどうかで判断されますが、詳細については直接国民金融公庫にお問い合わせください。

point21 公的融資を中心とする教育ローンの動向には常に注意して、住宅資金と同じように準備を怠らないようにしよう。


 
公的教育ローン一覧表



※本コラムの内容は、2004年11月現在のものです。本掲載記事を許可なく転載することを固くお断り致します。
はCFPボードの登録商標で、ライセンス契約の下に日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が使用を認めています。