耳より住宅マネー講座
第25回
監修・執筆: ファイナンシャル・プランナー(認定者)
島田昌夫

●転勤と住宅ローン控除
このコラムは、住宅ローンや税金に関する私の相談事例をもとに、毎月耳よりな情報をお届けしていきます。(1)上手な住宅資金づくり (2)効率的なコストカット方法 (3)税制関連の最新情報 といった切り口で適宜ご紹介していく予定です。皆様の家づくりにお役立ていただければ幸いです。

Q
昨年家を建てて入居して約1年が過ぎましたが、突然地方への転勤を命じられました。住宅ローン控除を受けていますが、単身赴任と家族全員引越した場合とでは、扱いに違いがあるのでしょうか。(会社員・31歳)

A
住宅ローン控除(正式には住宅借入金等特別控除)は、ローンを利用して家を手に入れた方には借入金の一部にあたる所得税が控除される、すなわち戻ってくるという制度(詳しくは国税庁の
HPhttp://www.taxanswer.nta.go.jp/shotoku.htmを開き、「マイホームの取得や増改築などしたとき」をご覧ください。)です。しかし、この一度払った所得税が現金で戻ってくるという恩恵を受けるには、さまざまな要件をクリアしなければなりません。
特に対象はあくまでも居住用のマイホームとしているため、所得税還付を受ける本人が住み続けていることは、基本的な要件です。そこでご相談者のように転勤を命じられた場合が問題となります。かつては、住宅ローン控除を途切れないよう、単身赴任になっても赴任先の住所に住民票を移さない方が結構いらっしゃったようです。しかし、今は住民票を移してしまってもかまいません。

(A)住宅ローン控除を受ける本人が単身赴任して戻ってくる場合


というのは、平成15年の法改正により、配偶者や親族がその住居に住み続けている限りは住宅ローン控除が変わりなく継続できることなりました。
ただし、以下をクリアすることが必要です。
すでに住宅ローン控除の適用を受けていること。
転任の命令等やむをえない事情により居住住宅を離れること。(自己都合では認められません)。
本人の配偶者や生計を一にしている親族等が住宅取得後6ヶ月以内に居住し、引き続き住み続けること。

(B)家族ごと転居して戻ってくる場合


あえて単身赴任ではなく家族全員で転居する場合、すなわち新居をいったん空き家にしたり、賃貸住宅としたご家庭の場合はどうなるのでしょうか。かつては、住宅ローン控除が転居後後適用されなくなり、もとの家に戻ったとしても再適用はされませんでした。
ところが、やはり平成17年の法改正により、再適用に道が開かれるようになりました。この場合も、転居するときと戻ってきたときに一定の書類を税務署に提出するなどの要件を満たし住宅ローン控除期間の残りの年数があれば、再び居住した年から再適用でき、再び所得税が還って来るようになったのです。

(B)の場合の注意点


居住していなかった期間については、住宅ローンの控除を受けられません。控除期間は誰に対しても居住開始から一定年数以内なのです。再適用が受けられる場合でも、適用を受けられなかった年数分が延長されるわけではありません。
家族全員で転勤先に移住した場合は、建てた家を賃貸にするケースも少なくないでしょう。その場合は、再び居住した年の翌年から再適用を受けることになります。

まとめ


このように見てくると、住宅ローン控除が全く途切れないことを前提とすれば単身赴任を選ばざるを得ません。その一方、家族と転居しても再適用の余地がないわけではありません。したがって一時の損得にこだわらず、家族にとって何が幸せかをよく話し合った上で判断されるのが妥当ではないでしょうか。
なお、ここでご紹介したのは、あくまでも国内の転勤です。海外への転勤の場合はもう少し複雑です。詳しくはお近くの税務署、各税理士事務所におたずねください。
point25 住宅ローン控除は、一定の要件のもとなら転勤等により家族で転居しても戻ってきた年から再適用され所得税の還付を受けられる。


 
転職と住宅ローン控除



※本コラムの内容は、2005年4月現在のものです。本掲載記事を許可なく転載することを固くお断り致します。
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