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はじめての家づくり

地震に強い住まいって?安心・安全な家づくりの知識とは?

630420 1703-1C_10387001036.jpg家族と末永く住まう家。家を建てるなら、万が一の自然災害にも耐えられる丈夫な住まいを建てたいものです

しかし、具体的にどういったこと意識して家づくりをすればいいのか分からない人も多いのではないでしょうか。地震に強い家づくりをするためには、いったいどんなポイントを押さえておけばよいのか解説します。

地震に強い住宅かどうかの判断基準「耐震等級」

まず覚えておきたいのが、「耐震等級」という言葉です。これは、地震に対する建物の強さを表す指標。品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)において「住宅性能表示制度」の一部として定められた、安全な住宅かどうかの判断基準です。耐震等級は、次のように等級1~3に分類されています。

  • 等級1
    建築基準法レベルの建物の強さを表します。数百年に1回程度発生する地震の力に対して、倒壊・崩壊しない建物の強さと定められています。
  • 等級2
    建築基準法レベルの1.25倍の建物の強さを表します。数百年に1回程度発生する地震の1.25倍の力に対して、倒壊・崩壊しない建物の強さと定められています。
  • 等級3
    建築基準法レベルの1.5倍の建物の強さを表します。数百年に1回程度発生する地震の1.5倍の力に対して、倒壊・崩壊しない建物の強さと定められています。

これら3つの等級で、地震に耐える強さの指標を表しています。ちなみに、数百年に一度発生する地震とは、住宅の密集する都市で震度6強~震度7程度の地震のこと。近年では頻発していますが、いわゆる大震災クラスの地震だということです。安心・安全な住まいづくりのひとつのポイントとして、耐震等級に注目してみましょう。

揺れに対して耐える技術「耐震」

住まいの地震対策として、最も一般的に採用されている技術が「耐震」です。
耐震の基本的な考え方は、揺れに対して耐えること。たとえ地震が来たとしても、建物そのものが大きく揺れないよう、骨組みを強固にし、地震の被害から建物を守ろうという考え方です。

家の構造では、筋交い(地震で家が倒れないよう、柱と柱の間に斜めに交差させて設置される部材)やブレース(筋交いと同じようにして、たすき掛けに設置される線状の部材)を使用することで、建物が変形しようとするのを防ぎます。耐震の考え方を取り入れた工法にはさまざまなものがありますが、そのどれもが建物を強くして揺れに耐えるという考え方に基づいています。

振動を抑える技術「制振」

地震によって起こる建物の振動を小さくする技術が「制振」です。
地震が起こったときに発生する建物の揺れを、制振装置が吸収することによって、地震のエネルギーをできるだけ小さくして、建物へと伝わりにくくする技術です。

代表的な制振技術には、おもりや振り子、水などの重量物を建物の中に組み込み、地震の揺れとは逆方向に動かして揺れを打ち消すタイプがあります。もうひとつは、油圧ダンパーの摩擦によって、地震の揺れを熱エネルギーへと変換し、揺れを吸収するタイプです。

住宅で主に採用されるのは、揺れを吸収するタイプ。油圧ダンパーは細かい揺れから吸収を始めるのが特徴で、大地震のあとに繰り返しやすい余震に有効です。

揺れを伝えにくくする技術「免震」

家の中の揺れを軽減できるとして注目されているのが、「免震」。
地震の揺れが起こった際に、建物の足元に組み込んだ免震装置によって、建物を地面から絶縁して揺れを建物に伝えにくくするのが特徴です。

免震住宅で採用されている免震装置は主に、建物を支え、地震発生時に建物をゆっくりと移動させるアイソレータと、振動エネルギーを吸収するダンパーを組み合わせて設置されています。

この免震装置を組み込むことによって、地震が発生した際に、建物を「滑らせる」「転がす」などし、揺れを建物に伝えにくくします。建物の中に入ってくる地震の揺れ幅を軽減させる仕組みのため、建物そのものの安全はもちろんのこと、家の中の安全も守れる技術となっています。

特性の理解が欠かせない建物の「構造」

地震対策の工法についてわかったところで、もう一点押さえておきたいのが、住宅の構造ごとの耐震性や耐久性です。
構造は大きく分けて「木造」「鉄骨造(S造)」「鉄筋コンクリート造(RC造)」の3つに分類されます。それぞれ耐震性や耐久性が異なるため、特徴をきちんと把握して家づくりに取り組むことが大切です。

木造

木造住宅では、柱と梁(はり)、桁を組み合わせて構造を支える「木造軸組工法」が主に採用されています。柱と梁で建物を支えながら、建物を強くするために柱と柱の間に筋交いを用いることで、耐震性や耐久性を高めています。近年では、工期を短く済ませることができる2×4工法も増加傾向に。面材の構造用合板を利用して壁を組み立てていく工法で、面の力で耐震を実現します。

鉄骨造(S造)

鉄骨造(S造)は、木造軸組工法の鉄骨版。部材同士が接合されている部分を強くすることで、筋交いやブレースなどを用いなくても揺れに強い構造を実現することができます。丈夫なだけでなく、設計の自由度も高いですが、工事費がやや高めになるかもしれません。

鉄筋コンクリート造(RC造)

地震によって発生する引っ張り力に対して強い鉄骨と、圧縮の力に強いコンクリートをうまく組み合わせた工法です。耐久性に優れ、耐震性能の強い構造になっています。設計の自由度が高く、遮音性にも優れていますが、ほかの構造と比べて工事費が高くなってしまいます。

それぞれの構造には耐震性や耐久性はもちろんのこと、さまざまなメリットがあります。
例えば、木造は、ほかの工法と比べると将来的に増改築がしやすく、リフォーム時に自由度が高いのが特徴。鉄骨造(S造)は柱の数を減らせるので広い空間をつくることができます。鉄筋コンクリート造(RC造)は、資産価値が高く自由度の高い設計が可能です。もちろんメリットがある反面、デメリットもありますのでプロに相談するとよいでしょう。それぞれの特徴を押さえながら、希望する間取りや予算によって最適なものを検討してみてください。

住まいの地震対策は欠かせない

安心・安全な暮らしには、住まいの地震対策は欠かせません。過去の災害から得た経験により、地震対策にはさまざまな技術が用いられています。家をつくる前に、それらの知識は正しく身につけておきたいですね。家族みんなが笑顔で暮らせる住まい。万が一の災害にも耐えられる強い家を建てるためにも、住まいの地震対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。

参考: