家族を育てる家

イノスの家の工務店

家づくりは「遊び心」と「笑顔」~ ㈱セイコー住研 辨木(べんき)専務インタビュー ~

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株式会社セイコー住研は大阪府堺市にある地域密着型の建築会社です。

イノスグループ発足時の1994年からイノス会員として活躍されており、この23年間でイノスの家の引渡し数は220棟以上にも及びます。

本日は㈱セイコー住研の辨木(べんき)専務に話を伺いました。

Q.会社概要を教えてください。

㈱セイコー住研は1979年に兄で社長の田中政義と、わたくし辨木晃(べんきあきら)とで創業しました。
会社名は社長の田中政義の「政」と私の「晃」をとって㈱セイコー住研と名づけました。
理由は単純に成功(セイコー)したいという思いが強かったからです。

創業当時から、必ず地域で№1の工務店になろうと二人で誓っていました。
社内の役割は、社長が土地開発を担当し、私が注文住宅の営業と設計を担当しています。
創業時は2人だけでしたが、今ではスタッフ8名、大工5名と、計13名の会社になりました。

Q.イノスグループ入会のきっかけを教えてください

A.「住友林業が嫌いだったから」

イノスに入会したのは会社設立から15年後の1994年でした。
設立当初から「他の工務店ではやらないことをやろう」と思って、設計士による設計相談会を公民館で開催していました。
それこそ最初の5年間は暗中模索の連続でした。

その後、ようやく新築住宅を受注できるようになってきたものの、ハウスメーカーと競合するとすべて負けていました。
今思うと、競合の土俵にも乗れていなかったのだと思います。
当時の合言葉は「憎っくき住友林業」でしたから。

そういう状況でしたので、イノスグループへの入会の話が来た時は「チャンス!」だと思いました。
「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と言われているように、まず相手がどんなものか探ってみようと思い、社長にも相談せず次の日にはイノス入会を承諾していました。
当然、社内スタッフは猛反対です。
もっとも、正直に言うと私自身も「ノウハウを盗んだらすぐに辞めてしまおう」と思っていたくらいです。
それが23年も続くのですから、驚きです。

Q.イノスグループに入会していかがでしたか?

A.正直、大人と赤子の戦いでした

イノスに入会するまで15年も自分たちでやってきたのですから、多少の自信もあったわけです。
それがイノスで研修を受けるにつれて、建築知識やスキル、営業ノウハウや現場の技術力に大きな差があることを痛感しました。
会社を設立してから初めて壁にぶち当たりました。
当時の自分たちは井の中の蛙だったのだと思います。

それでもようやく「イノスの家」の第1棟目の上棟にこぎつけました。
しかし、その記念すべき1棟目は屈辱的な結果となったのです。
イノスグループでは、上棟後に住友林業イノス営業部の技術スタッフが、建築現場に来て施工や管理のチェックをしてくれます。
そして建設会社の施工レベルや管理体制を確認、指導してくれるのです。

でもそこは社内全体が「アンチ住友林業」です。
現場チェックの当日に、イノス営業部の技術スタッフが来ても、大工も監督も現場から消えているようなありさまでした。

まぁ色々あって、ようやくチェックが始まったと思ったら、またこの現場チェックが本当に厳しいこと!
「こんな汚い現場をはじめて見た」とまで言われました。
結果は5点満点中のたった1点・・・。
「イノスは我々をバカにしているのではないか?」
社内は「住友林業憎し」のボルテージ最高潮です。

しかしながら、このままではまずいと思いました。
ここで逃げていると、自分たちの成長は無いと思ったからです。
そこで、じっくり1年かけて社内の意識改革をしました。

私が社内スタッフに言ったのは、「住友林業を好きになれとは言わん、住友林業を追い越せとも言わん。でも近づくことは出来るだろう」と。
これも反骨精神、負けず嫌いの表れです。
今が1点だったら、それを2点、3点と点数を増やしてやろう。
「いったいこの会社に何があったんだ!」とイノスを驚かせてやろう!!と。

だから今になってみれば、最初が1点で良かったと思っています。
それから何年後かにイノスから優良建築会社に選ばれた時も、社内スタッフには言いませんでした。
みんなにはもっともっと成長してもらいたかったからです。

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Q.イノスグループへの入会後はいかがでしたか?

A.ハウスメーカーとの競合に勝つようになってきました

さすがにイノス入会後もしばらくは、住宅メーカーとの競合に勝つことが出来ませんでした。
しかしながら、競合の土俵に乗れてきたような手ごたえは感じ始めました。

そんな中、ようやくハウスメーカーとの競合に勝てるようになったのは、イノスに入会してから10年を過ぎたころからです。
私たちが提案する家が変わり始めたのです。

設計力、提案力、施工力が上がってきましたし、今まで以上に私たちが納得できる家づくりが出来るようになってきたのです。
元来の負けず嫌いが良い方向に向いて、競合に勝つとともに自信も生まれてきました。
その自信は良いプライドになっていきました。
イノスグループでは毎年デザインコンペがあるのですが、そのコンペで優秀デザイン賞を取れるぐらいになってきたのです。

ちなみに私には競合した時のモットーがあります。
ひとつ目は競合先を誹謗中傷しないことです。
逆に競合先の良いところを知っている場合は、素直に相手を褒めるようにしています。

もうひとつは、負けた時は潔く引き下がることです。
実際、負けた時こそ勉強になるのですから。

Q.家づくりでは何にこだわっていますか?

A.遊び心と笑顔を大事にしています

家づくりに遊び心を取り入れています。

人は遊ぶ時、自分もそうですが生き生きとしていますし、遊び心の無い仕事は窮屈でたまりません。
遊び=無駄だと思われる方もいらっしゃるでしょう。
でも、その無駄は余裕を生み、最終的にはお客様の「笑顔」につながっていくと私は思うのです。
普通の提案は当たり前であって、遊び心のある提案はお客様の満足度を上げてくれます。

私たちは、こうして出来上がった家を見学会で披露しています。
その見学会で、ご来場されたお客様が思わず前のめりになる瞬間があるのです。
私はこの瞬間が一番好きです。

なぜなら、お客様にこの家の提案や遊び心を感じてもらったと感じるからです。
提案が期待を超えると、お客様は笑顔になりますし、お客様の笑顔は、周りのみんなを笑顔にしてくれます。
みんなが笑顔になれば、みんなが幸せです。

私はこんな特?徳?のある仕事は他にはないと思っています。

Q.辨木専務のモットーを教えてもらえますか ?

A.楽しみながら家づくりをすることです。

お客様と初めて打合せをするとき、お客様に「家づくりは楽しいですよ」とお話します。
そして「お客様だけ楽しんでもダメですよ、私も楽しみます」と言い切ります。
決して最初から「家を建てるなら当社でお願いします。」とは言いません。

お客様には「フリーハンドですが、まずは図面を書かせてください。私はお客様に提案する図面を描いているときが一番楽しく遊ばせてもらうときですから」と言っています。
私の設計手法は、描いた図面を立体的に見て、図面の中に先に住んでみるようにしています。
朝起きてから、めがねを取って、トイレに行って、洗面所で顔を洗って、新聞を取りに行って、テレビをつけて・・・など実際の生活をシュミレーションしてみるのです。

なぜなら、先に住んでみて自分が「ああ良い家だ!」と納得したら、お客様にも自信を持って勧めることが出来るし、完成してからのお客様の喜びも倍増すると思うからです。
いつもお客様には「先に住んでしまって、ごめんなさい」と謝りますが・・・。

また、お客様の要望や疑問には、出来る限り即答するようにしています。
「出来ません!」「分かりません!」「知りません!」は禁句だと思っています。
もし本当に分からないことがあれば、まずは勉強不足を詫び、そして「教えてください」と素直にお客様に聞くようにしています。
時には、お客様の要望がかなり難しい場合もありますが、その時は「一緒に挑戦しましょう」と協力をお願いし、挑戦を楽しむようにしています。

もちろん契約の話も、決して私から口火をきることはありません。
「もし図面が気に入ったら、建築をお考えください」とお伝えし、お客様の口から契約の話が出るまで、気持ち良く打ち合わせを重ねていくようにしています。

Q.アフターフォローはどのようにしていますか?

A.私たちは地域の一員だと思っています

イノスの家は過去220棟以上お引渡ししていますが、事務所から半径300m以内だけでも114棟のイノスの家が建っています。
道行くと、挨拶すればお客様です。
お客様には「何かあればすぐ連絡してください」と伝えてありますし、実際に連絡が入ったら、すぐに動きます。
地域密着とは商売の関係ではなく、人間関係の構築が最優先だと思っています。

ですから、地域のボランティアや行事にも進んで参加しています。
地域の方々は、会社の業績や現場なども見ていますが、一番に見ているのは社長をはじめ社員の人間性です。

そのためには自分たちが地域にいかに貢献できるか?を常に考えていることが重要で、大きいことよりも小さいことをコツコツやることが大切だと思います。

私たちの会社では、毎週月曜日に社員総出で事務所の周囲100mぐらいを掃除していますが、付近を歩くことで朝の挨拶も自然と出来るようになります。

また、毎年10月の海釣り大会には、社員も含めて50人ぐらい集まります。
ありがたいことに、受付などのお手伝いはお客様が自らやってくれています。

日ごろの真摯な取り組みと笑顔により、地域に「信用」が生まれていると思います。
そして、その信用はやがて「信頼」につながっていくと思うのです。

Q.会社のスタッフについて教えてください

A.正直、最高!!だと思っています

当社のスタッフは自信を持って仕事をしています。
私が現場スタッフを褒めて、たたえるのは、実際そう思っているからです。
彼らが最高の仕事をしてくれるので、私は安心してお客様とお話ができるのです。

ちなみに、私たちの会社は協力業者も固定していて、大工さんも外部の応援は入れません。
お客様には「弊社は下請け工務店を使いません。経験豊富な大工さんが1人大工として、自分の作品として最後まで責任施工いたします」とお伝えします。

なぜなら、同じ協力業者さん、大工さんだと息もぴったりですし、セイコー住研の家づくりを良く理解してくれているので、最高の家づくりが出来るからです。
本当に弊社の現場スタッフと協力業者さんの信頼連携は自慢の種で、みんなで和気あいあいと仕事をしてくれています。

本当にありがたいことです。

630 ボーリング大会.jpg Q.これから家を建てる方にメッセージをお願いします。

A.家づくりは楽しんでください

家づくりは一生に一回の大事業です。

特に注文住宅は、世界にたったひとつのあなただけの家です。
ぜひあなたの思いを注ぎ込んでください。

そしてあなたの思いを形にしてください。
一番は「家づくりを楽しむ」ことだと思います。
そうすれば、早く家に帰りたくなるオンリーワンの住まいの完成です。
そして我が家で待っているのは「笑顔」です。

インタビューを終えて

㈱セイコー住研の辨木専務にインタビューしてみて、家づくりを楽しんでいる、というのがとてもよく伝わってきました。

また、辨木専務のお話にもあるように、社内のチームワークが本当に素晴らしく、実際の現場ではそこに暖かい空気が流れているようでした。

地域に㈱セイコー住研のような地域に根付いた建設会社があることは、そこの住民にとってもとても幸せなことなのでは感じました。

本日はどうもありがとうございました。

取材協力:
株式会社セイコー住研
https://seiko-jyuken.co.jp/

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