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はじめての家づくり

知っているとためになる、家を購入するときに必要な登記制度について

630①森GMpixta_26213780_M.jpg家を購入するとき、注文住宅の場合は、打合せを行い、請負契約を締結し、住宅を施工、竣工引渡まで時間と手間をかけて家を手に入れます。

建売住宅を購入する場合には、出来上がった家を購入のことの場合が多いので、注文住宅ほどは時間がかかりませんが、大切な財産である家を取得することに変わりはありません。

注文住宅であっても、建売住宅であっても、手にする財産は不動産と呼ばれています。
不動産とは、大まかにいうと土地と建物(家)のことです。

少しだけ想像してみてください。
あなたが住んでいる家。
2週間ほど家を空けて海外旅行から帰ってきたら、見知らぬ人が勝手に住みついています。
「ここは私の家だから出て行ってくれ。」と抗議しても出て行ってくれません。

見知らぬ人は言います。
「もしここがお前の家だというなら証拠を見せてみろ。証拠がないのならここは俺の家だから、お前は文句を言うな。」
警察に言っても、「証拠がないのなら仕方ないですね。」と追い返されます。
そうしてあなたは住むところを無くして路頭に迷ってしまいます。

そんなことがあってもいいのでしょうか?
このようなことにならないため、そこがのあなたの家と土地だと国が証明してくれる制度があるのです。

それが『不動産登記制度』です。
大切な財産だからこそ、土地や建物の物理的な状況と所有者や債権者を明らかにし、国が不動産登記制度として統一管理しています。

今回は、この不動産登記制度についてご説明したいと思います。

不動産登記とは?

不動産登記とは、簡単に言うと、土地や家のマイナンバーや戸籍などの個人情報のようなものです。

その土地はどこにあるのか?
どんな種類の土地なのか?
面積はどれくらいなのか?
誰が持っているのか?といった情報を、国が公の帳簿(登記簿)に記録し、またその形も地図に記録し、これを誰でも確認できるように公開する制度です。
それにより、不動産に関する情報が公示されることから、所有者の権利が守られ、土地や家を売ったり買ったりする人たちが、安全に取引できるのにも役立っています。

不動産登記の種類について

不動産として登記される情報は大きく分けて、土地と建物に分かれます。
土地と建物は別々に登記されます。

1筆(登記簿で一つの土地と区分されたものを1筆といいます)の土地(又は1つの建物)ごとに表題部と権利部に区分して登記されます。
※表題部は1、で権利部は2、で説明します。

さらに権利部は甲区と乙区に分けられ、甲区には所有権に関する登記の登記事項が、乙区には所有権以外の権利に関する登記(抵当権、賃借権など)の登記事項がそれぞれ記録されます。

1、表題部=表示に関する登記

権利の対象である不動産(土地・建物)の物理的状況(所在地、地番、地目、地積、床面積等)を公示する登記です。権利に関して登記される情報の「前提としての情報」となるものです。

具体的には、不動産(土地・建物)の物理的状況、たとえば地番が101番の土地であれば、それがどこにあって、どれだけの広さで、どのように利用されているのか、を記載しています。

2、権利部=権利に関する登記

表題部に登記された不動産に係る権利の主体(権利を所有している人・団体のこと)、権利の種類、その内容、権利の移転、変更に関する登記です。

具体的には、不動産(土地・建物)の権利の状況、たとえば地番が101番の土地の持ち主が誰か、を権利部の甲区に記載しています。乙区には記載が無いこともありますが、ローンがある場合などには、抵当権者などの情報が記載されます。

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不動産の登記の手続きについて

では、新築の土地付き一戸建てを購入した場合(建売住宅)の登記の手順についてみてみましょう。
次の登記の手続きは、法務局で行う必要があります。

1、建物

①建物表示(表題部)の登記を行ないます。

建物の所在地や構造面積等を記載するための登記です。
図面の作成が必要となります。

この表示登記は本来であれば所有者が登記するものですが、所有者に代わって土地家屋調査士に登記の申請を依頼することができます。

ちなみに、土地家屋調査士とは、不動産の表示に関する登記の専門家のこと。
取得者に代わって、土地や建物の所在地・形状・利用状況などを調査して、図面の作成や不動産の表示に関する登記の申請手続などを行います。
土地家屋調査士は表題登記の専門職といえます。
土地家屋調査士が行なう登記には、建物の表示登記、建物滅失(旧建物の取り壊し)の登記、土地地目変更の登記などがあります。

②所有権保存登記を行ないます。

登記した表題部の所有権保存登記(所有者としての登記)を行ないます。
建売物件で、別の所有者が既に登記されていた場合には、所有権の移転(売買の登記)が必要です。
第三者に対して所有権を主張できるようにする登記です。これにより登記識別情報が交付されます。
このほか、銀行等から融資を受ける場合には、抵当権の設定の登記が必要となる場合がありますが、その際には融資担当の方にご相談ください。

2、土地

土地は多くの場合には、既に存在しているので、表題部の登記は既にされていることが多いです。
(ただし、造成工事などを行なった場合には新たに表題部登記が必要となることがあります。)

したがって、既に存在する土地の所有権の移転(売買)の登記を行ないます。

土地の売買によって、所有権が元の登記名義人から新たな所有者に継承される場合、第三者に対抗(不法占拠するものがいたりする場合に、自分が所有者であることを主張し対抗)するために原則として所有権移転登記が必要となります。
所有権移転登記は、司法書士に申請を依頼することができます。

ちなみに、司法書士とは、専門的な法律の知識に基づき登記並びに供託の代理、裁判所や検察庁、法務局等に提出する書類の作成提出などを行います。

司法書士が行なう不動産に関する登記としては、権利部にかかわる登記となります。建物・土地の所有権保存登記や、所有権移転登記、抵当権設定登記などがあります。

不動産の登記の話はいかがでしたか。
不動産の登記ことは、ふだん馴染みもなく、全く意識もしないことです。
しかし、家の建築や購入、土地の売買では切っても切れない手続きです。

不動産の登記はあなたの大切な財産を守る上で、重要な手続きです。
もし、あなたが家を購入するときや土地を購入するときには、正しい知識をもった人に相談しながら進められるとよいですね。

参考:
日本土地家屋調査士会連合会

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