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頭金はいくら必要?目安を知って住宅購入に備えよう

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家を手に入れるためには「頭金があると安心」とされています。でも、一体いくら頭金があれば安心なのでしょう。また、頭金がない住宅購入はどうして危険なのでしょうか。住宅を購入した先輩たちのデータや、頭金の役割などから、頭金の目安額を考えていきます。

住宅購入時の頭金、平均は物件価格の1~2割

住宅金融支援機構の「2017年度フラット35利用者調査」によると、住宅購入における頭金の割合は物件価格の1~2割程度です。とはいえ、購入物件の種類によって幅がありますし、購入価格によっても変わってきます。以下に物件種類の一覧でご紹介します。

購入物件の種類別 購入額と頭金の割合(2017年度全国平均)

注文住宅

  • 建設費(土地取得費含まず) 3,353.5万円
  • 頭金割合 19.4%

土地付き注文住宅

  • 建設費(土地取得費含む) 4,039.2万円
  • 頭金割合 11.1%

建売一戸建て

  • 物件価格 3,336.8万円
  • 頭金割合 9.0%

分譲マンション

  • 物件価格 4,348.4万円
  • 頭金割合 16.2%

建築費(もしくは物件価格)は分譲マンションが一番高く、次いで土地付き注文住宅、注文住宅、建売一戸建て......と続きます。一方頭金の傾向は、価格帯の高い分譲マンションと、土地購入のない注文住宅の割合が高く、土地から購入する土地付き注文住宅と建売一戸建てがやや低くなっています。すべてまとめた平均でいうと、頭金は「1~2割程度」となりますが、せっかくなら自身の希望する購入方法における平均を確認しておくといいですね。

頭金の必要性やメリットは

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昔は金融機関の融資上限が物件価格の9割程度で、残りは自己資金を用意しなければなりませんでした。つまり、住宅ローンの制度上1割程度の頭金が必須だったのです。

以前は金利水準も現在より高く、金利負担も小さくありませんでした。返済金のうち金利分の割合が大きかったので、頭金を入れて借入額を抑えると、そうでない場合に比べて総返済額を大きく減らすことができたのです。

現在の金融機関では一般的に物件価格を上限にした融資(フルローン)が受けられます。金利も超低金利と言える状況なので、負担は小さいでしょう。もしもフルローンで借りたからといって、総返済額が急激に大きくなることはありません。ただし、審査が通るかどうかは別の問題ですし、頭金を出すことで得られるメリットもあります。

頭金を出すメリット

実は、頭金を入れることで住宅ローンが有利になることがあります。住宅ローンの審査では、年収や年齢などほかの条件が同じなら借入額が小さい方が、融資が審査に通りやすいのです。また、審査時に「返済の確実性が高い」と判断されればより低い金利で借り入れできる可能性もあります。

全期間固定金利のフラット35では融資率によって金利が異なってきます。2019年2月の金利は以下のとおりです。

各金融機関の金利(最も多い金利)

  • 融資率9割超 年1.750%
  • 融資率9割以下 年1.310%

融資率は、住宅の建築価格、もしくは物件価格を100とした場合における、借入額(融資額)の割合です。頭金を1割入れることができれば、融資率は9割を切ることになります。

頭金を入れる影響は大きい

頭金を入れればそれだけで返済額が小さくなります。さらに金利も低く抑えることができれば、相乗効果で返済の負担が軽くなります。先ほど挙げたフラット35の金利で具体例をご紹介します。

事例

物件価格4,000万円の住宅を購入する場合の返済額

フラット35を利用・返済期間35年間・ボーナス払いなし

ケース1 頭金なし

  • 借入額 4,000万円
  • 金利 年1.750%
  • 年間返済額 153.6万円

ケース2 頭金1割(400万円)

  • 借入額 3,600万円
  • 金利 年1.310%
  • 年間返済額 128.4万円

ケース3 頭金2割(800万円)

  • 借入額 3,200万円
  • 金利 年1.310%
  • 年間返済額 115.2万円

同じ物件価格でも、頭金を1~2割入れることで返済の負担が大きく変わることが分かります。返済の負担を比較するには「返済負担率(※)」も理解しておくといいでしょう。仮に世帯年収が500万円だとすると、ケース1~3の返済負担率は次のようになります。

頭金による返済負担率の違い

  • ケース1 30.7%
  • ケース2 25.6%
  • ケース3 23%

頭金なしのケース1では住宅ローンの返済だけで年収の30%超となります。残りの70%で生活費や教育費、医療費などを賄わなければなりません。ほかの支出の少ない世帯なら問題ないかもしれませんが、一般的に住宅費は25%以内に抑えておくといいとされます。住宅価格から考えて返済の負担が大きいと考えるのであれば、頭金で借入額を圧縮していきたいですね。購入当初から1~2割の頭金を想定しておくと安心です。

※年収に占める返済額の割合。「年間返済額÷年収×100」で求められます(住宅ローン以外にも、借り入れによる返済がある場合はその分も加算して計算)

住宅購入時の諸費用も忘れないで!

住宅購入には所定の諸費用もかかります。諸費用は、主に2つに大別されます。ひとつは土地建物の登記にかかる「登記費用」。もうひとつは請負契約や売買契約、住宅ローンなどの「契約にまつわる費用」です。主なものをご紹介します。

登記費用

  • 所有権移転登記や所有権保存登記
  • 抵当権設定登記

契約にまつわる費用

  • 契約書に貼付する印紙税
  • 住宅ローン借り入れのための保証料や事務手数料、火災保険料など

これらの費用は新築で購入価額の3~5%(中古では5~8%)とされています。物件価格に応じて大きくなる傾向があるので注意したいところです。なおこれとは別に、引っ越し費用や家具の購入費も発生します。頭金で預貯金を減らしてしまったせいで、これらの資金が不足してしまっては大変です。頭金の額を決定する際は、諸費用も事前に見積もっておきましょう。

諸費用も住宅ローンに組み込む「オーバーローン」が可能な金融機関もありますが、借入額が大きくなるので返済の負担も増してしまいます。できれば避けた方が無難です。

頭金1割が難しいときはどうすればいい?

頭金も重要ですが、生活費の蓄えについても考えなければなりません。万が一の場合に備えた家族の蓄えとして、生活費の半年分程度は現金で確保しておくべきだからです。諸費用と万が一に備えた生活費を考えると、預貯金から頭金に割ける金額はわずか、という世帯も多いかもしれません。

頭金がたまるまで住宅購入は待った方がいい?

1~2割程度の頭金があると安心ですが、「確保すべき現金を考えたら、今の預貯金では頭金は出せない」といった世帯はどうすればいいでしょう。頭金をゼロからためなくてはならないとしたら、少し大変です。

頭金1割(もしくは2割)を目標にするのは素晴らしいですが、たまるまでに何年もかかるようなら、思い切って頭金なしで購入するのも手です。返済額が大きくなるのが怖いならば、物件価格を見直すことで借入額を調整しましょう。ただしその場合も、諸費用分の現金は準備したいところです。諸費用分も借りるオーバーローンは回避したいからです。

できる範囲で頭金を準備しよう

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平均的な1~2割の頭金があれば万全ですが、それだけの頭金がなければ家が買えないわけではありません。頭金の役割は「返済を楽にするもの」です。頭金が平均より少ない場合は、物件価格を抑えることで頭金を出すのと同じような効果が得られます。大切なのは、返せる範囲でお金を借りること。ご自身の家計状況に合わせた資金計画で、堅実な住宅購入をしましょう。