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住まいとお金

新築(建て替え)とリフォームの違いは費用や性能だけ?税金面からも見てみよう

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建て替えとリフォームでは、一般的に費用がかなり違います。費用だけでなく、性能や税金面でも違いがあることをご存じでしょうか。
建て替えとリフォームを比較するなら、費用以外の違いについても知っておきましょう。

やっぱり気になる、新築とリフォームにおける費用の違い

いい家を建てても、時間が経てば多少は劣化するもの。そんなときには住み替えや建て替え、もしくはリフォームする方法があります。どの方法を選択するか迷ったとき、やはり気になるのはお金のことでではないでしょうか。
国土交通省の「平成29年度住宅市場動向調査報告書」によると、新築とリフォームの平均費用は次のとおりです。

家の種類別 購入資金 平均額

  • 注文住宅(土地から購入) 4,334 万円
  • 建て替え 3,128 万円
  • リフォーム費用 231万円


家を新築する場合と、今ある家をリフォームするのでは、かなり費用に差が出ます。費用を安く抑えるならリフォームのほうがいいのかもしれませんが、費用がかかっても快適さや見た目を重視したい人もいるでしょう。
大切な家族の「住まい」のことを、費用だけで決めることはできません。建て替えを含む新築とリフォームについて、差異を比較していきます。

新築・建て替えとリフォーム、費用の違いはなぜ生まれる?

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新築(建て替え)とリフォームの費用の差は、工事内容の規模や内容によって生じます。リフォームの特徴は費用に応じて工事内容を取捨選択できる点です。リフォームの工事内容について、先述の報告書から内容を見ていきます。

【リフォームの内容(上位3つ)】

  1. 住宅内の設備の改善・変更(46.9%)
  2. 住宅外の改善・変更(41.5%)
  3. 内装の模様替えなど(34.2%)

※複数回答による割合

最多である「住宅内の設備の改善・変更」のうち、主なものは台所・便所・浴室など、水回りの設備改修です。そして住宅外の改善・変更(外壁工事や屋根の吹き替え)、内装の模様替えが続きます。
一方で、間取り変更といった大掛かりな工事は6.6%にとどまり、断熱工事や基礎・構造の改善など、構造に関する工事の割合はわずか5.5%でした。リフォームの主流は水回り、もしくは見た目の改善であることが見てとれます。

リフォームの平均費用が新築と比較して少額なのは、基礎や躯体に手を加える大規模な工事が少ないことも影響しているのかもしれません。大規模な工事である間取り変更なら、動線をスムーズにし、家族構成の変化にも対応できます。
耐震性や省エネ性能の向上をめざす工事は、安心と快適性をもたらしてくれます。しかしリフォームでそこまで追求する工事はそう多くないようです。

なお、耐震性能を向上させると、地震保険料を減額することができます。地震保険は家の所在地や構造によって保険料が決まりますが、国土交通省の基準を満たし「耐震等級割引」「免震建築物割引」などが適用されれば、最大で50%の割引を受けられます。

新築とリフォームのメリット・デメリット

今後の住まいについて悩んだときは、新築・建て替えとリフォーム、それぞれのメリット・デメリットを確認しておくと比較しやすいでしょう。

【新築・建て替えのメリット】

ゼロから家づくりをはじめるため、最新設備の導入が可能です。日々進化している建築技術を投入し、耐震・省エネ性能、バリアフリーや防音機能などの性能向上も望めます。また、間取りや外観など、変えたい箇所が広範囲におよぶ場合には、すべて一新できる新築・建て替えが適しているでしょう。

【新築・建て替えのデメリット】

ある程度の費用が必要になり、工事期間も1年程度と長くなります。解体費用や仮住まい・引越し費用など、建築費用以外にかかる諸経費にも注意したいです。

【リフォームのメリット】

「先祖から受け継いだ家」「自らが建てた家」など、思い入れのある家を残すことができます。現在の家を気に入っている人にとって、家を大きく変えることなく傷みや不満点を改善できるのが強みです。つくりがしっかりしていたり、贅沢な木材・内装を使用していたり、いわゆる「良い家」の場合も、リフォームで家の良さを引き継ぐことができればメリットが大きいですね。

【リフォームのデメリット】

リフォームではすべての工事ができるわけではありません。間取りやデザインなどの希望を、リフォームではかなえられない可能性が。耐震性や省エネ性能など、家の性能を向上させる工事もリフォームでは限界があります。

新築や建て替えは、費用の総額や工事期間の長さがデメリットになるようです。しかし、その分住宅の見えない価値も向上させることができます。原則として、かける費用が大きければ得られるリターンも大きいと考えましょう。

税金面は新築・建て替えの優遇が多いか

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よく知られている減税・給付金制度といえば「住宅ローン控除」と「すまい給付金」でしょう。住宅ローン控除は原則として新築・建て替え、リフォームの両者が対象ですが、リフォームの場合は「大規模の修繕であること」「工事金額100万円以上」などの要件を満たさなければなりません。
また、住宅ローン減税では前提として住宅ローンの利用が必須ですが、リフォームでは住宅ローンを利用する人の割合が低いため、利用できない人も多いです。

さらに、所得に応じて一定の給付金が受け取れる「すまい給付金」は、リフォームでは対象外になります。ふたつの制度で恩恵を受けやすいのは新築・建て替えを行う場合のようです。

固定資産税の減免措置

家を所有する人は固定資産税を支払いますが、新築・リフォームなどによる固定資産税の減免措置が受けられる市区町村は多いです。

例えば、横浜市では新築物件(一般の住宅)は購入後3年間、家にかかる固定資産税が2分の1に減額されます。省エネ住宅や認定長期優良住宅など、所定の要件を満たした場合は減免期間が最長7年間まで延長されます。リフォームにも減免措置はありますが、期間は翌年のみです。さらに、減免対象となるリフォームは「耐震改修」「バリアフリー改修」「省エネ(熱損失防止)改修」に限られます。

なお、税制優遇において建て替えは新築に含まれる場合と、そうでない場合があります。地区町村や制度ごとに要件は異なりますので、建て替えでは要件・対象をよく確認するようにしましょう。

リフォームの税金面は要件をよく確認しよう

税金の優遇では恩恵を受けにくい印象のあるリフォームですが、独自の補助金制度もあります。国の補助制度では最大で300万円(対象工事の費用の3分の1まで)が受け取れます。住宅ローンを組んでいなくとも、リフォームした年の所得税が減税できる投資型減税もあるのです。ただしこれらは、対象となるリフォームの要件が厳しいので注意が必要です。

優遇が受けられるリフォーム工事の対象は次のようなものがあります。

  • 省エネ性能や、家の長寿命化を目指すリフォーム
  • 三世代同居のためのリフォーム
  • バリアフリー化

補助金受給と所得税の減税のどちらを活用するによっても要件が異なりますが、基本的には上記のように家の性能を向上させる工事が対象となります。そのようなリフォームを考えていて「せっかくだから優遇を受けたい」方は、事前に要件をよく確認し、少しでもお得にリフォームを行いましょう。

新築・建て替えとリフォームの違いはかなりある

新築・建て替えとリフォームは、費用以外にも工事内容や税制面でかなり違いがあります。費用だけでなく、現在の家の評価や、家に求める性能などを含め、総合的に比較するといいでしょう。両者の違いや強みを知ったうえで、最善の選択をしたいですね。

参考:

住宅等に係る固定資産税・都市計画税の主な軽減制度一覧(23 区内)|東京都(PDF)
固定資産税のあらまし|横浜市(PDF)
No.1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
保険料と割引制度|東京海上日動
リフォームの補助制度|住宅リフォーム推進協議会
No.1219 省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)|国税庁
No.1222 耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)|国税庁