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「こんな家が欲しい!」から始める住宅資金計画の作り方

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「そろそろ家が欲しい」と思ったら、まず不動産会社の広告をチェックしたり、モデルルームに見学にいったりするのではないでしょうか。マイホーム探しも大切ですが、貯蓄の積み増しや頭金の用意など、資金計画についても考えておかなければなりません。
住宅資金の準備はどのようにすればいいのか、3ステップでご紹介します。

ステップ1 欲しい家の価格は?

ファーストステップは広告やインターネットでの価格の情報収集です。住みたいエリアで「欲しい間取りや設備」の家を建てる(購入する)と、価格がどのくらいになるのか把握しておきましょう。
この段階は場所の候補や希望物件のイメージが複数あっても大丈夫です。場所や広さ・住宅のグレードなどによる価格の差を知ることが目的になるので、金銭面だけでなく「こんな家に住めたら楽しそう」「素敵な家!」といったわくわく感を大切にしてください。

家の価格だけでなく、住宅ローンの毎月返済額もチェックしよう

広告の価格だけに注目していると、金額が大きすぎて具体的な資金を思い描きにくいものです。現在の家賃と比較できる「毎月返済額」を確認しながら価格をみていきましょう。多くの広告に毎月返済額が記載されているので参考にしてみてください。
ただし広告に掲載されている毎月返済額は、金利条件の良い返済額であることがほとんどなので、条件をよく確認しましょう。

自己資金がある人は「頭金があるから毎月の返済額がギリギリでも家を取得できるだろう」と考えるかもしれません。しかし購入時には諸経費がかかりますし、購入後は固定資産税も発生します。自己資金があるからといって安心せず、少し余裕を持った価格の物件も探しておきましょう。
諸経費についてはステップ2で詳しくご紹介します。

ステップ2 自己資金と借入額から資金計画を考える

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「このくらいの家なら建てられる(購入)できるかな?」とイメージができたら、マイホームに使える資金(住宅資金)を算出します。預貯金から手元に残しておくべき金額を差し引いた額が住宅資金です。

一般的に、手元に確保しておくのはマイカーの買い替えや子どもの進学資金など、「数年位以内に使う予定の資金」と何かあった場合の備えである「生活防衛費(生活費の3カ月~6カ月程度)」です。

ほかにも、「40代なので住宅ローンの返済と同時並行で老後資金も貯めなければならない」「将来的に独立を考えているので独立資金は留保しておきたい」といった事情も考慮して手元に残せる金額を算出します。出費に対する考え方は、夫婦でも認識が異なっていることがほとんどです。
この機会に、家族のお金について話し合っておくと、考え方のすれ違いも予防することができますね。

欲しい家の価格から住宅資金を差し引いたのが「希望借入額」

支出できる住宅資金が決まったら、今度は想定する家の価格から、住宅資金を差し引きます。そこで足りない額が「希望借入額」になります。希望借入額を借り入れたとして、毎月適切に返済していけるでしょうか。
借入額、金利ごとに毎月返済額をご紹介します。

【毎月返済額の前提条件】

  • 金利1.3%・全期間固定金利
  • 返済期間 35年
  • 元利均等返済・ボーナス払いなし

上記の条件で、借入金額の範囲2500万円~4000万円とした毎月返済額を四つ見ていきます。

  • 借入額2500万円 毎月返済額 7.5万円
  • 借入額3000万円 毎月返済額 8.9万円
  • 借入額3500万円 毎月返済額 10.4万円
  • 借入額4000万円 毎月返済額 11.9万円


借入額によっても違いますが、返済期間や適用金利も影響します。上記はほんの一例ですので、自分のケースで金額を確認するとよりリアルな金額を把握できるでしょう。金融機関やフラット35を提供する住宅金融支援機構などのホームページには、住宅ローンの返済シミュレーションがあるので、試してみることをおすすめします。

住宅価格以外の諸経費も資金計画に盛り込んで

住宅資金から希望借入額を出す際には、諸経費を盛り込むことも忘れないようにします。現金住宅購入時の諸経費は物件価格の5%程度とされ、内訳は次のようなものです。

  • 登記費用(所有権移転登記や所有権保存登記、抵当権設定登記など)
  • 売買契約書や請負契約書に貼付する印紙税
  • 住宅ローンの保証料や事務手数料、火災保険料


場合によっては「物件の頭金に」と考えていた費用を諸経費にあてることになるかもしれません。頭金は購入価格の1~2割あると良いとされていますが、そこまで用意するのが難しい世帯もあるでしょう。
まずは諸経費分の現金を確保するようにしてみましょう。諸経費分も上乗せして融資してくれる金融機関もありますが、返済の負担が大きくなりますので、返済できる余裕がなければ避けたほうが無難です。

ステップ3 住宅資金が足りないときの対処法

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ステップ2で出した毎月返済額の負担が大きい場合はどうしたらいいのでしょう。一番安心なのは毎月お金をコツコツ貯めて住宅資金を積み増すことです。堅実さは満点ですが、時間がかかってしまうのが難点です。「できば早く欲しい」と考えるなら購入価格を見直しして借入額を圧縮する方法も併用し、マイホーム取得までの期間を短縮しましょう。

貯蓄の積み増しは、「半年」や「1年」と、目標期間を決めて行うとモチベーションも維持しやすいでしょう。毎月継続して貯めていけば、家計のやりくり力も育つはずです。住宅ローンを組む前に家計力をアップできるのも大きな副産物といえます。

年収アップで資金計画を好転させる方法も

「返済の負担は重いけれど今すぐ欲しい」なら、世帯収入をアップさせることで返済を楽にすることも可能です。住宅ローンを組む前の転職はしないほうがいいですが、社内でのキャリアアップや子育て主婦が新たに働くなど、世帯収入を上げる方法を探ってみてください。ただし、未確定の収入に頼りすぎるのは避けましょう。

「欲しい家」と「買える家」の乖離は努力次第で近づく

理想の家が予算内なら最高ですが、そうでないときもあるでしょう。欲しい家のために多少の背伸びはしてしまうかもしれません。でも、その背伸びがもとで家計が苦しくなっては新居での暮らしも楽しさが半減してしまいます。「少しだけ資金が足りない」ときはどう対処するのかよく検討して、家族が笑顔になる資金作りをしたいですね。