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ペアローンって?夫婦で住宅ローン返済するメリット・デメリット

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夫婦共働きがスタンダードになりつつある現代。
夫婦どちらも働いていれば、住宅ローンだって「一緒に返したい」と思う人も多いでしょう。
夫婦で協力して住宅ローンを返済する方法はいくつかありますが、そのなかから、それぞれが住宅ローンを組む「ペアローン」について紹介します。

ペアローンとは

総務省統計局の「労働力調査」では、2016年の共働き世帯(パートタイム含む)の割合は61%。
また、厚生労働省の「平成28年働く女性の実情」によると、30~34歳の既婚女性における労働力率は、平成18年の調査では47.7%と半数以下だったのが、平成28年には62.7%と15%も上昇。
既婚女性が社会的に躍進している時代であるといえるでしょう。このように共働きが存在感を増すなか、新しい住宅ローンの形として、夫婦それぞれの名義でローンを組むペアローンが注目されています。

責任は「相手の分まで」のケースが多い

ペアローンとは、ひとつの家の借入れに対し、夫婦それぞれが住宅ローンを組むこと
ペアローンでは夫婦それぞれが、自己の借入額に対して返済責任を負うことになります。
しかし、実際には互いに相手の連帯保証人になることを求める金融機関が多いです。

連帯保証人とは主たる債務者と連帯して債務の保証をする人のことです。
夫が契約者(主たる債務者)である住宅ローンについて妻が連帯保証人になれば、契約者ではない妻も返済の責任を負います。こうしてペアローンは、互いに相手の借入れに対しても責任を持つことになります。

なお、ここでは「ペア」を夫婦としていますが、親子や結婚前提の婚約者などもペアローンの対象となることがあります。
利用の際は要件を確認しておきましょう。

ペアローンのメリット

ペアローンは、ローン契約を夫婦で2本結ぶことになります。
そのため、夫婦のうちひとりだけでローンを組むよりも大きな額を借りられるケースが多いです。
どちらか片方のみのローン契約では借入金が不足する場合、金額を増やす方法のひとつとしてペアローンを検討する余地があります。

また、夫婦ふたりの収入で生活している共働き世帯の場合、単独のローン契約であっても、実質的に夫婦ふたりで返済することになります。
どちらか一方のみがローン契約を結ぶより、ペアローンのほうが現実に即した形ですね。

ペアローンにおける団体信用生命保険のメリット

夫婦で互いに団体信用生命保険に加入できることも、ペアローンのメリットです。
通常、自己の借入額に対して加入することができます。

夫のみがローン契約をしているケースでは、たとえ内実は夫婦ふたりの収入で住宅ローンを返済していたとしても、団体信用生命保険に加入できるのは夫だけです。
実質的に返済を負担している妻が死亡した場合でも、住宅ローンの負担は一切減りません。
一方ペアローンで団体信用生命保険に加入していれば、夫婦どちらが死亡したときでも、死亡した者の債務は団体信用生命保険によって帳消しになるのです。

さらに、夫婦どちらかが死亡した場合、住宅ローン残高がゼロになる団体信用生命保険の特約があることも。
特約保険料として金利が0.18%程度上乗せされますが、共働き夫婦の返済に対する不安は大幅に減るでしょう。

住宅ローン控除はどうなる?

借入れによる負担は家計や貯蓄に大きく影響するもの。
だからこそ、住宅ローン控除についてもしっかりと知っておきたいですね。
住宅ローン控除は、夫婦それぞれの借入れに対して適用されます。
住宅ローン控除は、支払っている所得税(一部の住民税)以上の減税は受けられませんし、年末の住宅ローン残高の1%が上限額です。
それらの規定があり一概にはいえませんが、一般的にひとりだけで控除を受ける場合よりも控除額は大きくなります。

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ペアローンのデメリット

ペアローンは住宅ローンを2本組むことになりますので、各自が借入れ審査を通過しなければなりません。
また、事務手数料や保証料などの事務手数料も別々にかかります。

住宅ローンの手数料は借入額に対して一定比率で生じるものが多いので、単純に2倍になるわけではありません。
ただし、ペアローンを利用することで借入額そのものが大きくなることも多いもの。
初期費用がかさんでしまうのは確かです。

もうひとつ忘れてはならないのが、減収について。
共働きが前提の借入れになるため、夫婦のどちらかが仕事を辞めたり、収入が減ったりすると一気に返済が苦しくなる可能性があります。

妻の育児休業中の収入はいくらになるのか

特に女性は出産や育児により収入が減ることが多いので、借入れは慎重に行わなければなりません。
減収の代表的要因といえば、育児休業でしょう。
育児休業中に受給できる「育児休業給付」が収入源になります。
休業開始後6カ月間は、休業前の給与の約67%を育児休業給付として受け取れますが、6カ月経過後は約50%にまで減額されます。
なお、妻の収入が減る育児休業中は所得税額も減るため、住宅ローン控除の恩恵も小さくなります。

職場復帰後も短時間勤務を選択すれば、それだけ収入は抑えられてしまいます。
状況によっては退職に至ることも少なくないでしょう。
子どもが生まれたら妻がどう働き、夫はどうサポートすべきなのか。
夫婦でさまざまなケースを想定しておきましょう。
借入額が大きくなりがちなペアローンだからこそ、返済計画をしっかりと立てて利用したいですね。

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連帯債務と連帯保証の違いは

ペアローンと似た性質を持つ収入合算。
これらはどんな借入方法なのでしょうか。

収入合算

契約者は夫婦のどちらかひとりとなりますが、借入れの際、配偶者の収入を上乗せして審査します。
上乗せできる金額は、金融機関ごとに決まっています。
妻を収入合算者とする場合、妻の収入を全額上乗せできることもありますが、多くのケースで「妻の収入の半分まで」「主たる債務者の収入の半分まで」のように制限されています。
団体信用生命保険の加入者、住宅ローン控除の適用者は、ともに契約者のみとなります。

連帯債務

収入合算の種類のひとつとして、「連帯債務」があります。
夫婦のひとりが主債務者、もうひとりが連帯債務者となって借入れします。
契約は1本ですが、住宅ローン控除は夫婦ふたりが対象です。
団体信用生命保険に加入できるのは主たる債務者のみ。
ただし、連帯債務の代表的な住宅ローンである住宅金融支援機構の「フラット35」なら、一人分の1.56倍の特約料を支払うことで、機構団信特約制度「デュエット(夫婦連生団信)」にふたりで加入できます。

この特約では夫婦どちらかが死亡または所定の高度障害状態となった場合に、残りのローン全額が弁済されます。

夫婦二人三脚で返済できるペアローン

夫婦で住宅ローンを借り、返済していくペアローン。
自分たちの家を協力しあって返済していけるので心強いですね。
一緒に返済することで、ふたりの絆も強まるのではないでしょうか?
ただし、他にも収入合算といった手段があり、契約方法や万が一のときのリスクが若干違ってきます。
どういった方法をとるのか、きちんと話し合って最終決定をしましょう。

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