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建物のはなし
2017.10.25

ZEH特集② 知っていますか?実はZEHには日本の基準があるのです

630420 ZEH記事シリーズに掲載.jpgZEH特集①『ゼロエネルギーハウス(ZEH)は価格が高い?ZEHは本当にお得なの?』でZEHにちょっと興味をもった方もいらっしゃったでしょう。
今回は、ZEHっていったいどういうことなのかをお話したいと思います。

日本には日本のZEH基準があるのです

まず、例えば、の話しをしてみましょう。
ある古くて大きな家がありました。そこにある家族が住んでいます。
部屋がいくつもある大きな家ですが、古いので普通に暮らすと結構寒い家です。
窓も木枠にガラスをはめ込んだレトロな家です。
東京とはいえ冬は結構寒いのですが、その家の広いリビングダイニングには大きな暖房機があって真冬でも暖かく過ごせるようになっています。
また、家族がそれぞれの部屋でガスファンヒーターをかけっぱなしにしていて、暖かく暮らしています。
大きなお風呂もあって、24時間いつでも快適に入浴できます。
LDKや廊下の灯りはレトロなシャンデリア風の照明が24時間いつも点いたまま。
とても快適な家です。

反面、この家はたくさんのエネルギーを消費しています。
なんて不経済な家なのだろう!!と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

実はこの家にはものすごく大容量の太陽光発電が、屋根だけでなく周囲の敷地にも設置されていて、たくさん発電をしています。
発電量が多くて、その家で使った分以上に発電しています。
極端な例ですが、このような場合、使っている分以上発電しているので、この家はZEH(ゼロエネルギー住宅)なのでしょうか?
使っている以上に発電していればZEHの基準に合っているといえるのでしょうか?

簡単に言うと、ZEHは自分で使ったエネルギーを自分で賄う家。
たくさん使ってたくさん発電する家も広い意味ではそれに当たるかも知れません。
以前、それに似たようなZEHを作っているビルダーさんもいらっしゃいました。
使う電力量が多くて太陽光発電が足りなかったら、住宅に隣接する車庫や倉庫の屋根にも太陽光パネルを載せることを即提案。
たくさん載せれば発電量が増えるので、ZEHになるのです。
結局、使った分と創った分とを差し引きしたらゼロエネルギーになるのだから、嘘ではありません。
しかし、日本には日本のZEH基準があるのです。

人が快適に生活するためにはエネルギーが必要です。
人は食べて寝るだけでなく、暑いのも、寒いのも、暗いのも、不潔なのも、嫌ですから。
そのために私たちはエネルギーを使っています。
そこでまず、私たちが生活するのに家でどんなエネルギーを使っているのか考えてみましょう。

家にある機器を思い出してみてください。
エアコン、石油ヒーター、テレビ、パソコン、オーディオ、照明器具、冷蔵庫、電子レンジ、湯沸ポット、ガスレンジ、IHヒーター、扇風機、給湯機器、瞬間湯沸かし器、換気扇、洗濯機、ドライヤーなど、色々なものがあるでしょう。

このような機器を使って消費しているエネルギーの種類をみると、多くの家庭では電気が大半を占めています。
電気以外では、灯油、ガスなどを併用していらっしゃる方も多いでしょう。
人が快適に生活していくためには、これらのエネルギーを消費しなければなりません。
だから、エネルギー消費量が0(ゼロ)の住宅は今の日本ではほとんどありえないのです。

COP3(第3回気候変動枠組条約締約国会議)の京都議定書、東日本大震災、COP21のパリ協定などを経て、日本政府は省エネとCO2削減の一環でZEHを推進しています。
その活動の中で、平成28年の春にどのような家が「ZEH」なのか、国の定義が作られました。

ZEHの定義

日本は資源の少ない国で、使用するエネルギーの大半を輸入に頼っています。
従って、エネルギーの供給は非常に不安定な位置づけにあります。
そこで2度の石油ショック以降、限りある資源を大切に使おうと、省エネを進めてきました。
実は日本は、世界で最も省エネが進んだ国のひとつです。

その中で2011年には東日本大震災に伴う原発事故が発生し、原発の電源比率増加をCO2削減手段のひとつにしたエネルギー政策を大幅に変更せざるを得なくなりました。

国民の間では原発に対する不信感が増大し、原発廃止の流れが主流になってきたからです。
その流れの中で日本政府は2014年に「エネルギー基本計画」を策定し、それに沿って各分野におけるエネルギー削減を積極的に進めています。

この「エネルギー基本計画」では、産業、運輸、業務、家庭などの分野別にエネルギー削減目標が策定され、その中には、住宅に関する規定も盛り込まれました。
住宅については、2030年までに、年間の一次エネルギー消費量が正味(ネット)ゼロとなる住宅を、新築住宅の半数以上にするという政策目標を掲げています。
この目標に沿って国は、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を推進しているので、そのためにはZEHの定義が必要です。
ここで、経済産業省が進めているZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の定義についてお話しします。

経済産業省のZEHの定義は「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」です。

少々わかりづらいので、細かく区切って説明していきましょう。

住宅が消費するエネルギーについて

まずは、住宅が消費するエネルギーについてご説明します。
ご家庭にある多くの機器を用途別に分類して考えていくと、大きく7つのジャンルに分けられます。
暖房、冷房、換気、給湯、照明、調理、その他家電の7つです。

国はZEHのエネルギー消費量を考える上で、住宅が消費するエネルギーを、上記の中から調理と家電を除いた5つに限定しました。
5つとは、特に主要な暖房、冷房、換気、給湯、照明のことです。
住宅が消費するエネルギーのうち、この5項目の合計をその住宅のエネルギー消費量とみなすことになったのです。
従って、調理や家電で消費するエネルギーはZEHの基準となる消費エネルギー計算から省かれることになりました。この点は重要ですので、覚えておくと良いと思います。

また、エネルギー消費量は春夏秋冬、四季によって大きく異なります。
冬は寒いので暖房負荷が大きくなり、水の温度も低いので給湯の負荷も大きくなります。また、夏は暑いので冷房の負荷が大きくなります。
そこで、1年間を通してのエネルギー消費量の合計をその家の消費エネルギーとして、基準となる家のエネルギー消費水準と比較することに決められています。

ではどうやって一年間で消費するエネルギー量を測定するのでしょうか?
実際に使った電気料金やガス料金、灯油購入代金などから推測するのでしょうか?
もっと言えば、家を建てる前にエネルギー消費量を計算することなんて出来るのでしょうか?

実は、エネルギー消費量を計算する公式のソフトがあるのです。
パソコン上でソフトを立ち上げて、これから建てようとする家の情報を入力すると、その住宅が1年間に消費する(であろう)エネルギーを計算できるようになっているのです。

この便利なソフトは「一次エネルギー算定プログラム」と呼ばれ、WEB上にあり、使用料はなんとタダです。
だから、ZEHを作る住宅建設会社は必ずこのソフトを使い、これから建てる家の一年間のエネルギー消費量を計算し、それに見合った太陽光発電装置を載せて、エネルギー消費量以上に発電し、ZEHの基準をクリアするように計画するのです。

一次エネルギーって何?

「一次エネルギー算定プログラム」のソフトの仕組みについて少しお話しします。
この計算ソフトは非常に便利にできていて、必要な数値を入力すると、その家が一年間に消費するであろうエネルギー消費量を、「暖房、冷房、給湯、換気、照明」の項目毎に計算してくれるのです。
そして、消費するであろうエネルギー量は「消費一次エネルギー」という形で計算されます。
「一次エネルギー」って少し難しい表現ですね。
ここで少し、考えてみましょう。
家庭で使用するエネルギーには色々な種類があります。
普通、電気が最も多いでしょうが、家によってはガスもあれば灯油もあるでしょう。
ZEHではそのような多様な種類のエネルギーを、平等に比較・評価する必要があります。

例えば電気エネルギーは、家庭で使うときには、発電所で発電するときに発生させた元のエネルギーの37%程に減っています。
言い換えれば、電気エネルギーを1ほど使ったら、実はその3倍近くの元のエネルギーを使っていることと同じことになるのです。

だから、電気の使用量をそのまま灯油やガスのような他のエネルギーの使用量と同じレベルで比較するのには無理があります。
そこで考え出されたのが「一次エネルギー」の考え方です。
発電の主な方式である火力発電を例にとって考えると、多くの発電所では石油や石炭、ガスなどの燃料をボイラーで燃やして、熱を発生させます。
その熱で蒸気を作って、蒸気の力でタービンを回し、タービンに連動した発電機を回して発電し、やっと電気エネルギーに変換されます。
そのエネルギーの変換の過程でエネルギーのロスがたくさん発生して、結局、電気になった時には元の燃料が持っていたエネルギーの37%程しか残らないのです。

その場合、電気そのものが持っているエネルギーを他のエネルギーとの比較対象に使うのではなく、発電する前の原材料である原油や石炭、ガスが持っていたエネルギー(一次エネルギー)に戻して、他のエネルギーである都市ガスやプロパンガス、灯油や重油などのエネルギーと比較するのが平等でしょう。

細かく言えば、電気と同様にガスも地面から掘り出されたままのものを使うのではなく、不純物を取り除く精製工程を経ていますし、灯油や重油も原油を原材料としてコンビナートで精製されて作られています。

このように、エネルギーを大まかに区別するのに、地下から掘り出されたままのエネルギーを一次エネルギー。
これを加工して、使い易くしたものを二次エネルギーと言われています。

だから、エネルギーの使用量を比較するには、どの二次エネルギーもそれぞれ元の一次エネルギーに換算し直して比較するのが合理的なのです。
具体的には、一次エネルギーは、地下から掘り出したままの原油や石炭、天然ガスなどがこれに当たります。
一方、人が使いやすい形に加工された二次エネルギーとしては、電気、灯油、ガソリン、都市ガス、プロパンガスなどがこれに当たります。

だから、各種のエネルギーを平等に比較するために、家庭が使用するそれぞれのエネルギーを元のエネルギー=「一次エネルギー」に換算し直して平等に比較するように決められたのです。

このような理由から、それぞれの家庭で消費するエネルギーを「一次エネルギー」に換算し直して比較するために「一次エネルギー算定プログラム」が作られたのです。

ちなみに、昔は一次エネルギーの単位について、「原油換算」という表現が使われてきました。
それぞれのエネルギーを一次エネルギーのひとつである原油に換算したら何klになるかという比較方法です。確かに、平等に比較するには良い方法ですね。

しかし、消費一次エネルギー算定プログラムではエネルギー自体の単位「J(ジュール)」が使われています。
「J(ジュール)」という表現は日本人にとってはなじみが薄いですが、ヨーロッパなどではメジャーに使われているエネルギー(熱量)の単位です。
「J(ジュール)」は日本で言うカロリーとほぼ同じ意味の言葉なのです。

例えば、輸入品スーパーなどで海外の食品を確認してみてください。
裏面の成分表のエネルギー欄に、日本では「エネルギー:○○カロリー」と書いてありますが、輸入食品の中には「エネルギー:○○ジュール」と書いてあるものが意外と多いことに気づくと思います。
これがエネルギーの単位「ジュール」の身近な使われ方で、海外では普通に使われています。

余談ですが、日本やアメリカなどは「カロリー」をよく使用し、イギリスやフランス、オーストラリアなどの国々は「ジュール」を使います。
このように、「ジュール」は世界的に見れば結構メジャーなエネルギー(熱量)の単位なのです。
細かく言うと定義の差で、1カロリー=1ジュールではないのですが、その違いについても別の機会にお話します。

ZEHの条件

さて、ZEHは一年間に消費するエネルギーを、一次エネルギー算定プログラムを使って計算し、使った分以上に発電すればよいのですが、ただ単に使った以上発電すればよいものではありません。
いくら太陽光発電でたくさん発電していても、エネルギー垂れ流しの家を増やすことは、長い目で見て将来の為になりませんから。
そこには条件があります。
それは、一次エネルギー消費量を、基準になる家よりも20%以上節約できる家にしないといけないことです。
太陽光発電などを使って使った分以上に発電する事も必要ですが、その前に節約だけでエネルギー消費量を20%以上減らさないといけない規定があります。
それも、「節約」と書きましたが、これは"我慢する節約"ではなく、快適な生活をしながらエネルギー消費量を削減する"節約"なのです。

「基準になる家って何?」って疑問に思われるでしょう。
基準になる家は「消費一次エネルギー算定プログラム」を回した時に、今から建てようとしている家のエネルギー消費量と同時に、表示の横に勝手に計算される同じ大きさの「普通の家」が「基準になる家」です。

「普通の家」はこれから一次エネルギー消費量を計算する家と同じ場所に建つ、同じ大きさの普通の断熱水準で普通の設備を装備している家を想定されていて、その「普通の家」のエネルギー消費量が勝手に計算されて基準となるのです。

「普通の家」は、エネルギー消費量を計算する家と同じ場所に建つ同じ大きさの普通の家なので、家が建つ地域によって、建てる家の大きさによって、エネルギー消費量は変わってくるのです。

「消費一次エネルギー算定プログラム」は、このようなすごく複雑なことを計算できる、ちょっと不思議なプログラムなのです。

そのプログラムを回して消費一次エネルギーを計算するのですが、基準となる家よりも20%以上消費エネルギーを削減するには、エネルギーの消費量自体をいろんな工夫で削減する必要があるのです。
それを「暖房、冷房、給湯、換気、照明」のジャンルごとに見ていきましょう。

でも、少々文章が長くなってしまったので、また別の機会にお話したいと思います。

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