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木造住宅の構造はここをチェックしよう!大事な5つのポイント教えます

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ご自宅を新築しようとする時、誰もが丈夫な家にしたいと思うでしょう。住宅雑誌のアンケート結果などを見ても、建ててもらう会社を選ぶときの重要なポイントの一つに挙げられることにも納得がいきます。
一方、皆さんがどんな建設会社に質問しても、「うちの住宅は強いですよ。」と必ず返事が返ってくるでしょう。中には、「今の時代、どんな家でも基準をクリアしていますから、どこで建てても強さは皆一緒ですよ。それよりもうちの○○は・・・」などと、聞いてもいない自社の強味を説明してくれる営業マンもいるでしょう。

しかし、実際のところは、以前の記事(こちら)にある様に、2階建ての木造住宅は構造計算が省略できるのです。
最近では構造の自社基準を持つ住宅建設会社も出てきていますが、自社基準となると本当にそれが構造計算上必要な強さを持っているかはわかりません。

ここでは、木造住宅(軸組工法)の建物の、構造に関する5つのポイントについて説明します。ご自宅の設計時にこのポイントについて、建築してくれる会社さんがどのような検討をしてくれているのか確認出来たら、安心して建築を任せることができると思います。
出来る限りわかりやすく説明しますので、頭の片隅に置いていただけると幸いです。

1.壁量

地震の揺れや台風の風などの横から加わる力に対して、建物が変形しないようにするための壁を「耐力壁」と言います。建築基準法では、建物によってどのくらいの耐力壁の量(長さ)が必要なのか規定されています。耐力壁の量をしっかりチェックすることで、想定した揺れ・強風・積雪量などに抵抗できる強い家が実現できます。
尚、長期優良住宅では、建築基準法の1.25倍~1.5倍以上の耐力壁を配置することを規定しています。

間取りにもよりますが、まず建設会社に壁量の規定をクリアできているか確認してもらい、もし足りないようであれば追加してもらうと良いでしょう。
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2.偏心

いくら耐力壁の量が多くても、その耐力壁の配置が適切でなければ効果は発揮できません。
設計図面上で、耐力壁がバランスよく配置されているかが重要です。これは、偏心率という数値で表示することが可能です。この数値から万が一の時、倒壊などの恐れがないか、建物構造の信頼性を確認することが出来ます。そのため建設会社へ偏心率がどのくらいなのか確認をしてみて下さい。

建築基準法では偏心率を30%以下に設定していますが、より安全な建物にするためには概ね20%以下とした方が良いでしょう。

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3.梁せい

梁は天井の上などに水平に渡している大きな木材です。梁せいとは、梁の下面から上面までの高さのことで、梁せいが大きいほど建物の自重や積雪など外部からの力に強く抵抗することができます。この自重や積雪などの重さから梁1本、1本の梁せいの大きさが決まります。
建築学会基準では梁のたわみを梁のスパン(架かっている長さ)の1/300以下として設定しています。

見た目では大きく立派な梁に見えても、計算をしてみると本当はもっと大きな梁が必要なこともあります。建設会社に梁せいをどのように検討しているのか確認してみましょう。

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4.柱の座屈、土台のめり込み

建物を支えるものとして、柱・梁・土台があります。設計士には荷重や地震などの力が加わっても柱が折れたり、土台や梁にめり込んだりしないように十分な強さであるかを厳密に確認し、配置することが義務付けられています。
ちなみに座屈とは、柱が上からの荷重に耐えられずに、途中で曲がったり折れたりすること。めり込みとは、柱からの加重が大きすぎて、柱が梁や土台にめり込んでしまうことを指します。

具体的には、積載荷重と呼ばれる、各部屋毎に建築基準法で設定された重さや雪の重さなどから、それぞれの部材にどれだけの力が掛かるかを計算し、重さに耐えることができるかを検証します。例えば、上からの荷重が集中するような柱は、角材(断面が真四角の材)では足りず、扁平柱(断面が長方形の材)を用いる場合もあります。

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5.柱の引き抜き

地震の揺れや台風の強風などによって、建物には横からの力(水平力)が加わります。この水平力が加わると、柱を引き抜こうとする力が発生します。実際、もし柱が引き抜けてしまった場合、その建物は半壊もしくは倒壊してしまうでしょう。従って、土台や基礎と柱を接合する金物の信頼性が重要となります。
柱を接合する金物には様々な種類があり、例えばホールダウン金物と呼ばれる金物は、土台を介さずに基礎と柱を直接繋げるものなのです。現在木造住宅の柱には何らの金物が付いています。もし、金物の無い柱があった場合はどうして金物がいらないのか確認してみましょう。

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さいごに

本日は構造上の大事なポイントについて簡単にお話しました。最低限、このポイントを満足した建物は、自然災害など万が一のことが起きた場合でも安心できると言えるでしょう。
施主の立場からすると、自分で計算が出来ない以上、それぞれのポイントを確認するためには建設会社の方からその根拠となるものを呈示してもらうしかありません。

住宅建設会社の中には、こういったポイントを施主の方にわかりやすい資料で提供してくれる会社もあります。
住宅は長く使うものです。長く安心して住んでいられるよう、最初の段階で自分の納得がいくように確認して進めるのが良いと思います。