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家を建てたときに考える「ファイナンシャルプラン」

630420 20170919 正木M pixta_20080114_S.jpg終身雇用や年功序列の雇用制度が変化し、年金制度などの社会保障制度への不安の声も増えている中、決められた人生を送るのではなく、自分の「ライフプラン」を立てる人が増えています。
あなたの今後の人生には、どのようなイベントがあるのか、かなえたい夢や目標をいつまでにかなえるのかなど、自分の意思でおおよその人生設計を立ててみること。それが「ライフプラン」です。
また、ライフプランの中にはライフイベントがあります。
例えば、『結婚」『出産』『子供の進学』『家を建てる』」など、節目となる行事のことです。
ライフイベントの特長は、比較的大きなお金が動くということです。
また、「ライフプラン」に沿って、総合的な資金計画を立てることを「ファイナンシャルプラン」といいます。
特に「家を建てる」ことは、人生設計において大きなライフイベントであり、特に大きなお金が動きます。
家を建てた後に、「お金」のやりくりに困らないように、慎重にファイナンシャルプランを立てる必要があるでしょう。

今回は、家を建てるという大きなライフイベントのあとの二つのモデルケースを参考に、ライフイベントに沿ったファイナンシャルプランの立て方について考えてみたいと思います。

モデルケース1

Aさんご家族:夫28歳 妻27歳 長男2歳

Aさんが土地探しからスタートし、晴れて家の購入をしたのが28歳のとき。
家を建ててから後の、Aさんのライフイベントとそれに併せたファイナンシャルプランについて、考えてみました。

最初に、Aさんには今後どのようなライフイベントがあるのかをピックアップしてみます。

  • 第2子の誕生
  • 子供の就学
  • 車の購入(5年毎)
  • 子供の結婚
  • Aさんの定年退職

ざっと考えても、いくつかのライフイベントがあがります。

よく分かるように、ライフイベントを時系列に並べて見える化した『ライフイベント表』を作成します。

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Aさんの家を購入してからのライフイベントが時系列にまとめられていて、「何歳でどのようなイベントがあるのか」が分かりやすくなりました。

さらに「お金」の動き=ファイナンシャルプランを書き込みます。

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Aさんの家庭の年間の「収入」と「支出」に加え、今後の各ライフイベントにかかる「費用」を加えてみることで、「貯蓄残高」がよく分ります。

見える化したことで、Aさんが42歳のときに、Aさんの家庭の貯蓄が底をついてしまうのが一目瞭然です。

では、Aさんの家庭の貯蓄が赤字にならず、かつライフイベントを実現できるにはどうすれば良いのでしょうか?

端的に言えば、家庭の支出を減らすか、家庭の収入を増やすことが必要でしょう。
とはいっても支出は子供の成長とともに増えるもの。支出を抑えることは難しそうです。
したがって、奥さまが働くことで、家庭の収入を増やすことにします。
第2子が10歳になったときから奥さまが60歳の年まで、年間100万円の収入が得られます。
100万円×24年間=2,400万円の収入が増加します。
奥さまの収入分を反映したのが次の表です。

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奥さまが働くことで、貯蓄の残高も赤字になることはなく、少しづつ増えていくことが分ります。

収入の見直しを検討することで、Aさんが60歳以降の貯蓄残高も安定し、希望のライフイベントが実現出来そうです。

モデルケース2

Bさんご家族:夫40歳・妻40歳の2人暮らし

Bさんは、40歳のときに夫婦二人で暮らすための家を購入ました。
Bさんが家を購入してから後のライフイベント表を作成します。

  • 車の購入
  • 旅行
  • 60歳で定年退職
  • 68歳で田舎暮らし(移住)計画

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作成したBさんのライフイベント表に、お金の動き=ファイナンシャルプランを加えてみます。

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Bさんが定年になるまでは、大きな変更や改善点は必要なさそうです。

しかし、Bさんは定年以降年収が下がることに対して、何らかの対策が必要だということがライフイベント表からわかります。
今のままだと64歳で貯金が底をついてしまい、念願の田舎暮らしを実現できなくなってしまいます。

したがって、ライフイベントを見直すことが必要です。
まず、毎年予定している海外旅行を、毎年ではなく、隔年に変更し、回数を減らします。

次に車の購入です。
64歳までは5年に一度、車を買い替えを予定しています。
しかし、65歳以降は運転することもするなくなるため、頻繁に買い替えせず、長く大切に乗ることにしました。

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海外旅行の回数を減らし、車の購入時期を見直したことで、68歳での田舎暮らしも実現できそうです。

ライフイベント、ファイナンシャルプランを見直すことで、より豊かな生活を

今回は、「家の購入」を基準にした2つのモデルケースを考えてみました。

Aさん家族とBさん家族が、もしもファイナンシャルプランを立てずにそのまま過ごしていたら、将来どうなってしまっていたでしょう?

「家の購入」は特に大きなお金が動くとき。
そういうときこそ、ライフイベントやファイナンシャルプランを見直すべきだと気づいたはずです。
家の購入に限らず、何か大きなイベントがあるときには、自分で簡単なライフプラン表を作成し、さらにファイナンシャルプランを加えて、家庭の収支を見直してみることをおすすめします。

ファイナンシャルプランを自分で立てるのが難しいと感じてしまう方は、加入している保険会社や、市中のファイナンシャルプランナーに相談してみると良いでしょう。
親身に相談に乗ってもらえるはずです。

また、当初たてたライフイベントに変更があれば、その都度ファイナンシャルプランも併せて見直すことを忘れずに。

今後の自分の人生をあらためて見つめなおし、家計も見直すことで、より豊かで、理想の生活が送れるのであれば、一度試してみてもよいかもしれませんね。

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