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意外と知られていない!戸建住宅の「基礎工事」とは、いったいどんな工事なの?

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注文住宅を建築する際、「どんな間取りにするか?」「壁紙はどうするか?」といったことに関心を示す人は多いのですが、こと"基礎工事"となると「よくわからない」と答える人も少なくありません。
基礎工事は作業自体がとても地味で、建築後は外からまったく見えなくなる部分なので、興味がわかないのも無理はないでしょう。

しかし、基礎工事は家づくりの土台となる、とても重要な部分です。
住宅とは数十年という長いお付き合いになるので、その土台である基礎工事についてもある程度の知識を持っておくと、安心して日々を過ごすことができるでしょう。

そこで、戸建住宅の基礎工事とはいったいどんな工事なのか、どのような作業を行うのかを、わかりやすくご紹介します。

そもそも"基礎工事"とはいったい何?

基礎工事とは、地面と建物のつなぎ部分にあたる"基礎"を造るための工事のことです。
何か物事を始めるときに"基礎が大事"とよく言われますが、それは家づくりも同じです。
なぜかというと、基礎は建物のすべてを支える土台であり、その土台がしっかりしてこそ家が傾かず、丈夫で長持ちするからです。

ただし、基礎の下には地盤があることも、忘れてはいけません。
基礎工事を行う前にしっかりと地盤調査を行い、軟弱な地盤であれば、地盤の固いところまで杭を打つといった地盤改良工事をする必要があります。
こうした対策をすることによって、基礎はゆるぎのない"家の土台"となります。

基礎工事は、どのようにして進めるの?

基礎工事の方法には、主に「ベタ基礎(防湿基礎)」と「布基礎」の2種類があります。

① ベタ基礎(防湿基礎)

ベタ基礎(防湿基礎)は、現在多くの住宅が取り入れている基礎工事の方法で、建物の底一面を鉄筋コンクリートの基礎で支えます。安定性が高く、地震の揺れや不同沈下にも強い造りになっています。

ベタ基礎にすると、地面から上がってくる湿気や白アリを防ぐこともできるので、建物の品質を長く保つことができます。ただし、コスト的には布基礎に比べると割高です。

② 布基礎

布基礎は、建物の柱や壁の部分にコンクリートを打設(建築の基礎となるコンクリートを、枠の中に流しこむこと)する基礎工事の方法です。
ベタ基礎が建物を"面"で支えるのに対して、布基礎は壁面に沿って"線"で支えると考えれば、わかりやすいでしょう。

「布基礎だから、どこかに布を使うのでは?」と思っている人もいるのですが、そういうわけではありません。
漢字の布には"平らに伸びる"という意味があり、壁面に合わせて平らに伸びる基礎の特性から、布基礎と名付けられたとも言われています。
語源には諸説あるようですが、いずれにしても布基礎に使われるのは布ではなくコンクリートで、どのようにコンクリートを打設するかによって「ベタ基礎」と「布基礎」に分かれています。

布基礎はベタ基礎に比べてコストが低い、柱や壁にかかる荷重を受け止めやすいなどのメリットがあります。
その反面、地面からの湿気によってカビや白アリが発生する危険性があり、建物が古くなるとバランスが崩れてしまうケースもあります。

基礎工事の工程は、このようにして進んでいく

では、基礎工事の工程は、いったいどのようにして進んでいくのでしょうか?
 ここでは、多くの住宅で採用する「ベタ基礎」を例にとって、ご紹介しましょう。

① 地縄を張る(遣り方工事)

まずは建物が土地の中のどの部分に建つのかがわかるように、縄やロープで印を付けます。
「遣り方工事」とも呼ばれています。

② 根切りをする(掘削工事)

基礎を入れるために、パワーショベルといった重機で基礎の底となる高さまで土を掘ります。

③ 砕石を入れる

「砕石」と呼ばれる細かく砕いた石を敷地全体に敷き、地面を転圧して地盤を固めます。

④ 防湿シートを敷き、捨てコンクリートを流す

その上に「防湿シート」を敷き、建物を建築する位置を間違えないように、印を付けるためのコンクリートを流します(捨てコンクリート)。
コンクリートが乾いた後、墨出し(基準線を引く作業)を行います。

⑤ 鉄筋を組む(配筋)

建物を建てる位置が定まったところで、鉄筋を組みます。

⑥ 外周の型枠を組み、ベース部分のコンクリートを打設

基礎の外周にコンクリートが漏れないように型枠を組み、ベース部分のコンクリートを打設します。

⑦ 基礎内部の型枠を組み、基礎内部のコンクリートを打設

ベース部分のコンクリートが乾いたら、内部の立ち上がり部分の型枠を組み、コンクリートを打設します。

⑧ 型枠を外し、雑コン・仕上げ

コンクリートの強度が出るまで養生したら、型枠を外します。
その後、仕上げ作業として勝手口や土間・給湯器置き場などのコンクリートを打設したり、不要なコンクリートを除去したりといった作業を行います。

⑨ 基礎の完成

こうして基礎が完成します! 地縄を張ってから基礎が完成するまでは、通常1ヶ月半ほどかかります。


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基礎工事の仕事を行うのは、いったい誰?

基礎屋さんが行う場合が多いが、大工さんが基礎から行う場合もある

基礎工事は、"基礎屋さん"と呼ばれる基礎専門の職人さんが行う場合が多いのですが、大工さんが基礎から引き受けることもあります。
基礎工事を行うには、測量や配筋・コンクリート打設などの知識と技術が必要なので、大工さんが行う場合も、その知識と技術を持った人が担当します。

職人さんは、施主が見学に来るのを待っている

「職人さんの邪魔になっては悪いから」と、家づくりを見学に行かない施主さんもいるのですが、実はそれは逆だというのをご存じでしょうか?
 ほとんどの職人さんは、施主が見学に来るのを待っていて、基礎工事の現場も例外ではありません。
むしろいろいろ話しかけてコミュニケーションをとる方が、職人さんも仕事にやりがいを感じてくれるのです。

職人さんと話をしたいときは、いつ行くのがベスト?

「職人さんにいろいろ聞きたいことがある」というときは、10時と3時の休憩前あたりに顔を出すと、休憩中にいろいろな質問ができます。
職人さんは基本的に日曜日がお休みなので、平日仕事がある人は土曜日がチャンスかもしれません。

ただし、車で行くときは、職人さんの作業の邪魔にならない場所に停めましょう。
コンクリートの打設といった作業をしているときは、施主に対応できないこともあるので、「今どんな仕事をしているか」を見ながら声をかけることも大切です。
また、工事について不安に感じることがあるときは、職人さんに直接聞くよりも、担当営業を通して質問するのがベストです。

家づくりは、建ってからが本当のお付き合い

「家を建ててもらったら、ハウスメーカーとの契約は終わり」と考えている人もいますが、けっしてそんなことはありません。家づくりは、建ってからが本当のお付き合い。
心から満足できる住宅であり続けるために、わからないことや困ったことがあったときは、いつでもお気軽にご連絡ください。

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