家族を育てる家

はじめての家づくり

土地など不動産を購入するなら、最低限こんな法律は押さえておこう!

7-7A_10179016113 - コピー.jpg

初めて土地を購入したり借りたりして、マイホームを建てる。いろいろ夢が広がりますが、実は不動産に関してはさまざまな法律が存在します。そのなかには私たちの権利を守ってくれるものもあれば、私たちに義務を課すものもあります。
すべてを理解するのは不可能ですが、こういった法律があるということだけでも知っておきたいですね。今回は、土地を購入して家を建てる際に知っておきたい法律をいくつかご紹介します。

建物の建築に関する法律

建物の建築についてのさまざまな決まり事を定めた法律です。ハウスメーカーや工務店などに家の建築を依頼する場合には、そういった法律を踏まえたプランを提示してくれますが、自分自身でも基本的なものは押さえておきましょう。

都市計画法

都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的とする法律で、この法律の規制の対象となる区域を「都市計画区域」といいます。法では都市計画区域を「市街化区域」、「市街化調整区域」、「区域区分が定められていない都市計画区域(通称非線引き区域)」に分けており、通常私たちが住宅を建てることができるのは、「市街化区域」です。

さらに市街化区域は、「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため」に定める「第一種低層住居専用地域」、「主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため」に定める「第二種低層住居専用地域」、「住居の環境を保護するため」に定める「第一種住居地域」など、現在13種類の「用途地域」があります。

次の建築基準法で、用途地域ごとの具体的な取り決めが記されています。そのため、用途地域の確認をせずにそこに家を建ててしまうと、場合によっては、子どもの教育上好ましくない商業施設が近所に建ったり、自宅近くでカフェを開く夢があったのにできなかったりと、いろいろ影響が出てきてしまいます。

土地を選ぶ際は、その辺りも考慮して不動産会社がアドバイスしてくれるはずですが、不動産情報サイトにも、その土地の「用途地域」が書かれていることが多いので、利用するといいでしょう。
また、通常は自治体のホームページでも土地の用途地域を確認することができます。

建築基準法

私たちの生命や健康、財産を保護して安全快適に生活が送れるよう、家屋の敷地や構造、設備、用途についての基準を定めた法律です。都市計画法との関連性が強く、都市計画法で定める用途地域に建てることができる建物、用途地域ごとの建ぺい率や容積率の上限など具体的なルールが定められています。

建ぺい率と容積率について、少し詳しく説明します。

  • 建ぺい率
    敷地面積に対する建築面積の割合のことです。建築面積とは、建物を真上から見たときの水平投影面積といわれるもので、通常は1階部分の面積がそれに該当します。例えば建ぺい率「50%」の100平方メートルの土地には、建築面積50平方メートルまでの家が建てられるということになります。

  • 容積率
    敷地面積に対する延床面積の割合のことです。延床面積とは各階の床面積を合計したもので、玄関やバルコニーなどは含まれません。容積率「100%」の100平方メートルの土地には、延床面積100平方メートルまでの家を建てることが可能です。例えば2階建てのシンプルな形状の一戸建て住宅なら、1階・2階それぞれ床面積50平方メートルの家を建てられるということです。

このほか建築基準法では、都市計画区域内で建物を建てる場合において敷地が道路に2メートル以上接していなければならないといった「接道義務」や高さの制限など、家づくりに関係するさまざまなルールが定められています。

土地・建物の取引に関する法律

7-7B_10206001260 - コピー.jpg

土地や建物を取引する際のトラブルを回避したり、取引がスムーズに進むようにしたりするための法律です。

宅地建物取引業法

条文には「宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うことにより、その業務の適正な運営と宅地及び建物の取引の公正とを確保するとともに、(中略)購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的とする」とあります。

具体的には、宅地建物取引業者の免許制度、営業保証金制度、業務を実施するうえでの禁止・遵守事項などについて定めています。

「宅地建物取引業」は、不動産業のうちでも、「売買」「仲介」といった業種のみを扱うものです。したがって、マイホームを建てる土地を購入したり、注文住宅ではなく建売住宅を購入したりする場合に関係してくる法律と理解しておくといいでしょう。

不動産登記法

不動産登記法は、不動産登記記録の記載方法や登記の手続きなどについて定めている法律です。不動産登記とは、土地や建物について、どこにあって、どれくらいの広さがあって、だれが持っているのかなどの情報を、法務局の登記官という専門職員が記録することをいいます。

不動産登記を行うと、その不動産を所有していることを第三者に主張することができるため、取引の利便性を考慮した法律であるとともに、次の「権利と義務に関する法律」の仲間でもあります。

権利と義務に関する法律

7-7C_10131043907 - コピー.jpg

土地の売買や貸借について売主と買主、あるいは貸主と借主の間で契約を結ぶ際には、さまざまな権利と義務が発生します。その権利や義務のあり方を明確に定めている法律です。

借地借家法

土地や建物を貸したり借りたりするときに発生する、貸主と借主の権利などが定められた法律で、借地権、定期借地権に関するルールを知ることができます。土地を借りてマイホームを建てる予定がある場合は、この法律について、不動産会社などからしっかり説明を受けておきましょう。また、不安がある場合は、第三者である法の専門家に相談することをおすすめします。

※借地借家法(法:第一章総則 第二条https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=403AC0000000090#5)に定められる「借地権」には、「地上権」と「(土地)賃借権」があります。インターネットで土地を探している際に目にすると思いますが、それらの違いについて詳しく知りたい方は、こちら(土地を所有していなくても家は建てられる?借地権のメリットとデメリットを解説)をご覧ください。「定期借地権」についても解説しています。

民法

日本の主要な法律である六法のひとつ。
不動産にかかわらず、売買契約や請負契約を締結する際の基本ルールや、双方の権利や義務などについて細かく定めた法律です。

土地・建物に関する基本の法律はぜひ知っておこう

不動産の購入は非常に大きな買い物です。通常、必要な法律は不動産会社やハウスメーカー、工務店などが把握しているはずですが、ある程度の基本的なルールは自分でも知っておきたいものです。ただし、知っているだけでトラブルに巻き込まれないというものではありません。また、土地や建物に関連する法律は今回ご紹介したほかにも多くあります。不明点や不安点がある場合は、必ず法律のプロに相談するようにしましょう。