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ZEH特集① ゼロエネルギーハウス(ZEH)は価格が高い?ZEHは本当にお得なの?

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昨今、「ゼロエネルギーハウス(ZEH)」という言葉が、大手住宅メーカーのTVCMを中心に巷に溢れてきました。
エコの時代、「自分で使ったエネルギーは自分で賄いましょう」というフレーズが人の心をくすぐる一方、光熱費が0(ゼロ)になる家はとても『お得な家』というイメージも先行しています。
(参照)ZEHの説明:経済産業省 資源エネルギー庁HP

確かに東日本大震災以降、電気代は毎年のように上がっています。
かつて昼間の半額以下だった格安の深夜電力割引制度も、各電力会社は原発停止をきっかけに新規契約を止めています。
原発を停止させて太陽光などの環境に優しい電力源を重視し、"お安い電気"が無くなった今、今後もきっと電気料金はまだまだ上がっていくでしょう。

しかし一方で、ZEHは価格が高いと聞きます。
確かにそれは、嘘ではありません。
ZEHは高性能な断熱材や、高効率で高価な住宅設備機器などを組み合わせて家の省エネ性能を上げ、日常生活に必要なエネルギー量を減らすことが必須だからです。
更に太陽光発電を屋根に載せて、使う分以上の発電する必要があり、結局のところ、一般の家よりも高価な家になってしまいます。
わかりやすく言うと、ZEHは"普通の家"と比べると、家の省エネ性能を上げるためのコストと、太陽光発電を載せるコストが余分にかかっているのです。

そんなにお金をかけたとしても、ZEHは本当にお得なのでしょうか?

比べてみようZEHの家と普通の家

最初に、ZEHは本当にお得なのか、それとも損なのかを、損得勘定だけで考えてみました。
考え方としては、"普通の家"からZEHのレベルまで家の性能を上げるために、余分にかかるお金(イニシャルコスト)と、そこに住むことで節約できるお金(ランニングコスト)を比較するのがわかりやすいと思います。最初にかかったお金が本当に回収できるのかを、以下のように検証してみました。

実際に東京でZEH申請した30坪程の物件を例に比較してみます。
ZEHと比較対象になる"普通の家"は、ZEHと全く同じ場所に建つ、同じ間取り、全く同じ大きさの家とします。
この二つの家を比較してみれば、その差がわかると思います。

但し、"普通の家"は、普通とはいえ2020年に義務化される『建築物省エネ基準』をクリアした、ちゃんとした"普通の家"を想定しています。
ZEHと比較して、ZEHが不当に有利にみえたり、その反対だったら、比較する意味が無いからです。

"普通の家"と比べてZEHの価格が高くなる主な理由は、高性能サッシ、高性能断熱材、高効率エアコン、効率給湯器、熱交換型換気扇、太陽光発電などを採用しているからです。
それぞれの部材の性能が高いこと、設置する量が多いことなどが、"普通の家"に使われる部材に比べて価格が高くなる要因です。
この高くなる金額を合計すると、この30坪程の物件で約300万円です。(コストアップの詳細は別の機会にお話します。)
果たして、この300万円のコストを今後回収できるのでしょうか?

ZEHと"普通の家"で、同じレベルの快適な生活をしたときに、ZEHが"普通の家"と比較して、一年間で節約できる光熱費などをコンピュータのプログラムを使用して計算してみました。

計算結果から、ZEHが"普通の家"と比較して一年間でいくらずつ節約できるのかを、それぞれの項目別に書き出してみます。

  • 暖房・冷房費    24,800円
  • 給湯費       19,900円
  • 換気費        2,500円
  • 照明費       12,650円
  • 【合計金額】    59,850円

合計金額にプラスして、太陽光発電分を自家消費することで、電気の買入れが減少する分の30,160円/年をプラスしてみます。

お金に換算する根拠としては、使用電力量を電気代に換算して比較してみました。
(買入れ電気 1kWh=24円として試算)
すると、お得になる金額は約9万円/年間になります。

また、太陽光発電で余った電気は販売できるので、毎年約8.0万円の収入になります。
(売電30円/kWhとして試算)

すべてを合計すると、ZEHは、"普通の家"と比較して年に約17.0万円お得になりました。

ZEHにするためにかかる300万円を17.0万円で割ると、18年経つ少し前くらいにはイニシャルコストを回収できそうです。但し、30円で売電出来るのは10年目までです。
おそらく10年後には売り買いの電気代が同じくらいになるため、8.0万円/年の売電収入は11年目から6.4万円程に下がります。
その分を換算するとイニシャルコストを回収できる期間が少し長くなりますが、それでも19年前くらいには回収でき、以降は毎年約15万円が丸々お得になるという計算です。

2020年に義務化される省エネ住宅と比較してもこのくらいお得なので、今お住まいの家が古い戸建て住宅だったら、もっとお得になります。

このように考えると、300万円程をローンに上乗せしてもZEHにした方が家計の負担も少なくすみます。

とはいうものの、現実的に考えると300万円ものお金を、余分にローンで組むのは結構大変です。
そういう場合、他に何か良い方法はないのかを考えてみました。

太陽光発電をお得に手に入れるには

じぶん電力

コストアップ分の中で、住宅をZEHにするのに最も金額の負担が大きいのは、太陽光発電です。
先ほどの計算例の内訳でも太陽光だけで120万円ほど設置費用がかかります。
だから、もし太陽光発電が0円で手に入れば、こんな良いことはありません。

太陽光を0円で手に入れたいと考えるあなたにお勧めなのは、太陽光発電装置を屋根に置かせてあげると、20年経ったらタダで自分のものになるという、魔法のようなサービスがあるのです。
それが「じぶん電力」。

太陽光発電の"屋根貸し"と同じような制度ですが、20年間太陽光発電を自宅の屋根に載せると太陽光発電があなたのものになる制度です。
太陽光パネルは非常に丈夫で、20年どころか30年も40年も壊れにくいものです。
それを、20年経ったらタダでくれるというのですから、すごく魅力的な制度です。
また、20年以降からは原価ゼロで電気が手に入ります。(細かくはパワーコンディショナーのような経年劣化による交換部材が発生しますので、その点は少し注意が必要です。)
もちろん、20年経過するまでの間は売電のメリットはありませんが、電気を一般よりは少し安く買えるそうです。
詳しい制度に関しては別途お話しますが、このような制度もあるのです。

補助金制度を有効活用

他に、補助金を貰おう!という考え方もあります。
経済産業省はZEHに対して75万円(平成29年度)の補助金を出しています。(平成28年度は125万円)
補助金は採択されないと貰えるかどうかわかりませんが、当たればラッキーと思って申請してみるのも良いと思います。
もし75万円の補助金が貰えれば、ZEHに投資する300万円が225万円で済むのですから。

気をつけなければいけないのは、補助金制度にはいくつかの条件があるということです。
特に注意すべきなのは、国に『ZEHビルダー登録』している工務店や住宅建設会社しかこの制度を使えないことです。
補助金をもらうには、家を建てるときは『ZEHビルダー登録』している住宅建設会社に依頼しなければならないということです。

ZEHビルダーとは、決められた条件をクリアしたZEHを建てることを国に約束して、毎年ZEHを建てる目標を決めている、いわば国のお墨付きビルダーのことです。
当然、有名な大手住宅メーカーも登録しています。

では、ZEHビルダー登録をしている住宅建設会社を探すにはどうしたらよいでしょう?
それは、ZEH補助金の事務を行なっている『環境共創イニシアチブ』という機関のホームページにアクセスしてみるとわかります。

ホームページでは県別にZEH登録ビルダーが登録された住宅建設会社がわかり、お住まいのお近くのZEH登録ビルダーを探すことができます。

さらなる裏技は地域型住宅グリーン化事業

そして、もうひとつの裏技は、国土交通省が推奨している『地域型住宅グリーン化事業』です。
中小の工務店支援の為に国土交通省が行なっている補助事業ですが、このグリーン化事業の中にもZEHに対する補助金給付制度があります。
経済産業省の事業より補助額が大きいのが特徴で、平成29年度でも最大165万円が補助される見込みです。
これにプラスして、「地域材」と呼ばれる木材を使用すると更に20万円上乗せで、最大185万円の補助金が貰えるという、夢のような制度です。
枠自体が少ないのと、各地域にある工務店を中心にしたグループに対して補助枠が設けられているのとで、貰うのに少々ハードルが高い補助金です。
しかし、興味のある方は、とてもお得な制度なので調べてみる価値はあるかもしれません。

ZEHは環境にも、家計にもやさしい家です。

このように考えてみたら、なんかTVCMの中の話だったZEHが、手に届くもののように感じられてくるのではないでしょうか。
ちゃんと建てればZEHは環境にも家計にもやさしい住まいなのです。
『ちゃんと建てること』がすごく重要なのですが、それは別の機会にお話しします。

また、一口にZEHといっても日本に建っているすべてのZEHが同じ性能のものかというと、そうではありません。
日本は狭いようで意外と広く、北から南までそれぞれ気候が大きく違います。
また、エネルギーの削減手法にはいろいろあって、それぞれ住宅建設会社によってやり方は違うし、実態は結構バラバラなのです。
家の基本性能に力を入れた家づくりをしている住宅建設会社もあれば、高価な機械を導入して力技でZEHにしている住宅建設会社もあるなど。

ただ、安心してください。
日本にはきちんと決められた最低限のルールがあり、その範囲内で住宅メーカーや住宅建設会社が様々なやり方でZEHを建てているのが実情なのです。

もし、あなたが自分の家をZEHで建てようと思うなら、そのルールと仕組みを知っておいたほうが良いでしょう。
なぜなら、「わが社が建てる家はZEHの家です!!」と宣伝していながら、実は自社のZEHの標準仕様すら決めていない、"いい加減"な住宅建設会社に"いい加減な家"を建てられたり。
また、不当?に価格が高いZEHを買ってしまったり。
そんなことがないように、まず、あなた自身がZEHを理解してみるとよいでしょう。

次回は、ZEHっていったい何?を掲載予定です。

<参考記事>

じぶん電力
一般社団法人環境共創イニシアチブ
ZEHビルダー検索

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