シックハウス症候群とは?快適で健康な家づくりをしよう
家は本来、私たちの暮らしや健康を守ってくれる存在です。
しかし、注意を怠ると家が原因でめまいや頭痛、じんましんなどの症状が出る「シックハウス症候群」にかかってしまうかもしれません。
シックハウス症候群の原因や症状、対処法まで知っておき、家づくりに反映させましょう。
シックハウス症候群とは
厚生労働省の「健康な日常生活を送るために シックハウス症候群の予防と対策」によると、シックハウス症候群の症状は、めまい・頭痛や腹痛のほか、吐き気やだるさ、眠気などさまざまです。
一般的に子どものほうが、抵抗力が弱く原因物質の影響を受けやすいといわれていますが、大人だから大丈夫というわけではありません。
大人の発症者も症状には個人差があり、同じ家に住んでいても発症する人・しない人に分かれます。
近代になり新たに登場した健康障害なので、医学的にはまだわからないことも多く、治療法は確立していません。
症状が多岐にわたるため、シックハウス症候群が原因なのか、それとも別の疾病なのかわかりにくいことも治療法を調べる妨げのようです。
環境問題と混同されるケースがありますが、これは別問題。
シックハウス症候群は「家」に由来する病気なので、都会か田舎かなどの地域環境は関係ありません。
たとえ、家のある場所が自然にあふれた空気のよい場所でも、室内環境がよくなければ発症の可能性があるのです。
シックハウス症候群の原因
シックハウス症候群の原因が家であることは知られていますが、具体的に家の何が原因となるのでしょうか。
【シックハウス症候群の発症原因】
- ・内装材、建具など、家を建てる材料に使われる化学物質(接着剤や塗料、溶剤など)
- ・いす、テーブル、壁紙、カーテンといった家具や内装品の化学物質
- ・カビ・ダニなどによる室内空気汚染
- ・石油ストーブやガスストーブによる一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物など
- ・たばこの煙に含まれる有害物質
- ・気密性が高い室内において、空気中の二酸化炭素濃度の上昇
- ・衣類の防虫剤、殺虫剤
これらの化学物質が原因でシックハウス症候群が起こるとされています。
建材や家具を新調することになる新築・もしくはリフォーム時は、化学物質に注意すべきタイミングだといえるでしょう。
さらに、家の性能がシックハウス症候群の発症を助長しているようです。
近年は住宅の省エネ技術が向上した結果、気密性の高い家が普及しています。
高気密の家は冷暖房の効きがよく、騒音も遮断できます。
防犯性も高いので、快適かつ安心できる家です。
その反面、換気性が低くなる点は否めず、結果的に有害物質がたまりやすくなってしまいます。
また、共働き夫婦の増加にともない、日中に換気できない家が増えていることも原因のひとつと考えられるでしょう。
シックハウス症候群を避けるために!家を建てるときの注意点
シックハウス症候群を避けるための対策は始まっています。
建築基準法では、2003年(平成15年)7月1日よりシックハウス症候群を予防するための規制が定められました。
厚生労働省は、13の物質について濃度指針値を定めたのです。
そのうち、建築基準法の規制対象となっているのは「ホルムアルデヒド」と「クロルピリホス 」の2つです。
シックハウス症候群対策1 ホルムアルデヒド
ホルムアルデヒドは樹脂や接着剤の原料で、壁・天井・床フローリングなど多くの場所で使われる「合板」に使用されます。
以前は多くのホルムアルデヒドが合板の溶剤として使用されていましたが、法改正により次のような規制が設けられました。
【内装仕上げの制限】
ホルムアルデヒドの発散量が多い建材ほど、その使用面積が制限されます。
発散量が少ない建材には使用制限はありません。
【天井裏などの制限】
ホルムアルデヒドが室内に流入しないよう、次のような規制を守らなければなりません。
- ・発散量が少ない建材を使用する
- ・発散量が多い建材を使用した場合は規定の対策を講じる
対策としては、室内に流入しないよう天井裏の気密性を高める・天井裏で換気をさせる、などが挙げられます。
【換気設備設置の義務付け】
24時間換気できるシステムを設置しなければなりません。
1時間あたりに部屋の空気の半分が入れ替わるだけの換気性能が義務付けられています。
シックハウス症候群対策2 クロルピリホス
クロルピリホスとはシロアリ駆除に使用される物質で、以前は建材にも使用されていました。
現在は使用が禁止されています。
家づくりの過程でシックハウス症候群の予防を
使用が規制されているのは先に挙げた2つですが、厚生労働省が濃度指針値を定めた物質にはほかにトルエンやキシレンなどがあります。
この2つもホルムアルデヒドと同様に、内装材等の施工用接着剤で使用されます。
しかしトルエンやキシレンは適切に換気を行えば2週間程度でかなりの化学物質を追い出すことができるので、対処しやすい物質です。
通常の備えがほしいのであれば、建築基準法で定められている水準に沿った家を目指していけばいいでしょう。
より厳しい目で家を建てたい場合は、化学物質の少ない「環境配慮(環境対応)型」製品を選ぶ、窓や換気扇を活用して空気が流れる家にするなどの予防法があります。
どこまでこだわるかは人によって違うので、事前に考えをまとめておくと家づくりがスムーズに進みそうですね。
換気効率がいい間取りにしよう
空気を動かすには、入り口だけなく出口も必要です。
実は窓がひとつだけでは、動くのは窓付近の空気のみとなります。
対角線上に2つ窓を配置することにより、効率よく換気を行うことができます。
どんなに間取りやデザインが素晴らしくても、健康を害してしまったら意味がありません。
建設会社や設計士に相談して、納得のいく家を目指しましょう。
シックハウス症候群にかかったら?生活のなかでできること
もしもシックハウス症候群にかかってしまったら、どうすればいいのでしょうか。
こまめに換気をして有害物質を室内にためないことが大切です。
高温時には化学物質の発散量が増えるので、夏は特に換気を行いましょう。
また、家だけでなく電化製品や家具・カーテン、消臭剤や洗剤なども化学物質を発散させるものがあるので注意しましょう。
大きな家具や電化製品を買い換えるときは、同時期の買い換えにならないよう時期をずらすといいですね。
快適で健康にいい家づくりを目指そう
機密性が高く省エネ性能に優れた家ほど、シックハウス症候群に注意する必要であります。
シックハウス症候群についても知り、住み心地がよく、健康的に暮らせる家を手に入れましょう。