土地の価格はどのように決まるの?
土地は、住まいの基礎となるだけでなく、全ての経済活動や生活全般における、文字どおり土台となるものです。今回は、そんな土地の価格は、どのように評価され、どのように決まっているのかなどを、お伝えしたいと思います。
1.商品やサービスの価格とは?
商品やサービスの価格を決めるための価格評価には、下記のような三原則があります。
一般的には、これらの原則等によって評価され価格が形成されています。
1)再調達原則(生産価格)
現在の市場で、同等の商品やサービスを再調達(再生産)するために、必要な費用を基にして価格評価をする方法です。
2)需要と供給の原則(市場価格)
消費者が商品やサービスを購入したいという欲求を「需要」といい、企業や生産者が市場に提供する商品やサービスの量を「供給」といいます。この「需要」と「供給」のバランスがとれる価格を基にして価格評価をする方法です。
3)収益還元の原則(収益価格)
商品やサービスから、どれくらいの収益が得られるかを基にして価格評価をする方法です。
2.土地の主な商品特性とは?
一般的な商品やサービスと比べて、土地には下記のような特性があります。
1)供給の固定性
埋立てなどの特殊な場合を除き、新たに生産されることがありません。
2)不動性
地理的な位置を動かすことができません。
3)耐久性
基本的に、老朽化や摩耗などしません。
4)異質性
所在する場所ごとに個別性をもち、全く同じものは存在しません。
5)用途の多様性
利用する人によって用途は様々であり、権利関係も多面的です。
6)価格の変動性
社会環境や経済情勢などによって価格が変動します。
これらの特性により、土地の価格形成には、売り手と買い手の個別的事情等が大きく影響しています。
3.公的土地評価制度とは?
土地の主な商品特性によって、土地価格の形成プロセスは分かりづらくなっています。
そこで、土地価格の指標として、下記の公的土地評価が公表されています。
名 称 |
管 轄 |
評価時点 |
公表時期 |
参照URL等 |
1)地価公示 |
国土交通省 土地鑑定委員会 |
毎年1月1日 (毎年公示) |
3月頃 |
【国土交通省:不動産情報ライブラリー】 |
2)基準地価 |
都道府県 知事 |
毎年7月1日 (毎年公表) |
9月頃 |
同 上 |
3)相続税 路線価 |
国税局長 |
毎年1月1日 (毎年評価替) |
7月1日 |
【国税庁:路線価図・評価倍率表】 |
4)固定資産 税評価額 |
市町村長 |
毎年1月1日 (3年毎に評価替) |
5~6月 頃 |
下記を参照 ①納税通知書 ②固定資産課税台帳 ③固定資産評価証明書 |
それぞれの概要については、次のとおりです。
1)地価公示:
地価公示法に基づき、「①一般の土地の取引価格に対する指標の提供」「②不動産鑑定士の鑑定評価や公共用地の取得価格等の算定の規準とすること」「③相続税・固定資産税評価の規準とすること」などを目的として、公示区域(都市計画区域その他の一定の区域)内の標準地の正常な価格を調査・公表する制度
(不動産鑑定評価や公的土地評価制度の基礎となっています。)
2)基準地価:
国土利用計画法に基づき、「規制区域内の土地の取引価格の算定規準とすること」を目的として、地価公示を実施している区域や都市計画区域内以外を含む全国の基準地の正常な価格を調査・公表する制度
(地価公示制度を実質的に補完しています。)
3)相続税路線価:
相続税法、財産評価基本通達に基づき、納税者の申告の便宜と課税の公平を図る観点から、相続税等の課税価格の算定に係る申告時の土地の時価を評定・公表する制度
(公示価格の80%程度とされています。)
4)固定資産税評価額:
地方税法、固定資産評価基準に基づき、固定資産税の課税標準額を決定し、課税するために、評定・公表する制度
(公示価格の70%を目処とされています。)
4.実勢価格とは?
公的土地評価制度とは異なり、実際に取引される価格をいい、過去の取引事例等を参考にして、現在の価格が推定され、それに基づいて売り手と買い手との間で、各々の事情等をふまえて決定されます。
過去の取引価格を調べるには、前述の【国土交通省:不動産情報ライブラリー】や宅地建物取引業法等に、一定の取引の場合に登録が定められているREINS(レインズ)の不動産取引情報を一般向けに提供するサイトである【レインズ・マーケット・インフォメーション:http://www.contract.reins.or.jp/】で参照できます。
5.まとめ
土地の価格を知るには、目的によって、土地の指標を選択して調べる必要があります。今回は、土地の価格の種類やそれがどこの管轄であり、いつ頃公表されるのかについてお伝えいたしました。土地はお住まいや経済の基礎となるものですから、指標がたくさんあって紛らわしいですが、目的に応じて適切に使用できるよう備えておくと良いでしょう。