一戸建ての価格はいくらが相場?自分にとっての適正価格とは
「マイホームが欲しいと思っても、何千万円という大きな買い物にはためらってしまう......」そんな方も多いでしょう。
住宅の購入を検討し始めた段階で、適正な購入価格を知っておきたいところです。
また、返済困難に陥らないためにも、諸費用や具体的な毎月の返済額をイメージしておくのが理想的だといえます。
さて、一戸建ては、いったいどのくらいのお金がかかるのでしょうか。
一戸建ての価格や負担できる頭金はいくらか
慎重派の方だとできるだけ頭金を多くしたいと考えるかもしれません。
しかし、貯蓄をすべて住宅に使ってしまうのも不安でしょう。
そこでチェックしたいのが、すでにマイホームを購入した先輩方のお財布事情。
住宅金融支援機構の「2015年フラット35利用者調査」によると、一戸建て購入者における、購入価格と頭金の全国平均は以下のようになります。
【土地付き注文住宅】
- 建設費 2582.9万円
- 土地取得費 1315.0万円
- 頭金 497.3万円
【建売注文住宅】
- 購入価格 3319.5万円
- 頭金 409.4万円
※対象はフラット35(全期間固定金利の住宅ローン)利用者となります
これを見ると、土地と建物の建設代金の合計の1割強を、手持ち金として頭金やこのあとで述べる諸費用に充てるケースが多いようです。
諸費用分も考慮すると、土地と注文住宅の購入に関しては「物件価格の1割」が頭金の平均といっていいかもしれません。
頭金の考えかたは
前述のように近年の頭金は1割程度が主流のようですが、従来は2割が頭金の理想とされていました。
これは、以前は10割融資が受けられず、「融資上限は物件価格の9割」といった住宅ローンが多かったことや、借入金利が高かったので金利負担を抑える目的があったからです。
しかし近年は10割融資がスタンダードになってきていますし、低金利化も進んでいます。
そのため頭金を多く入れるよりも、購入したあとのライフイベントにかかる資金を温存する傾向にあります。
例えば、こどもが小学生の場合、これから教育費が増えていくと予想されます。
今後の教育費用をシュミレーションし、ある程度の貯蓄は確保しておくとよいでしょう。
妊娠・出産、転職・失職による収入減などの可能性もしっかり検討したいです。
実際に頭金の額を決める際は、下記のステップで考えてみましょう。
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1.貯蓄額や両親からの援助など、自由になる資産を確認
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2.今後10年間で支出が見込まれる額を差し引く(学費や新車購入代金など)
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3.半年~1年ほどの生活費は「万が一のときのお金」として差し引く
こうして残った資金が住宅に充てられる費用となります。
ここからさらに諸費用を差し引いた額が頭金として使える額ですね。
一般的な住宅購入の諸費用
諸費用は一般に購入価格の6%程度とされています。
土地購入を含む、一戸建ての主な内訳を、支出時期ごとに見てみましょう。
①購入前の諸費用
- ・工事や売買契約時の契約書にかかる印紙税
- ・仲介手数料(土地売買時に不動産業者に支払う)
- ・フラット35ならば適合証明書交付手数料(フラット35の融資を受けるために必要な証明書)
- ・土地の登記代(登録免許税や司法書士への報酬など)
- ・事務手数料
- ・抵当権設定費用(登記代・司法書士への報酬)
- ・団体信用生命保険
- ・火災保険料・地震保険料など
②住宅ローン契約時の諸費用
団体信用生命保険は住宅ローン契約者に万が一のことがあった場合に、住宅ローンが清算される保険です。
保障対象は「死亡・高度障害」のみというシンプルなものや、がんや脳卒中、心筋梗塞などのほか、介護や失業状態まで保障する幅広いものまでさまざまです。
基本的に、保障範囲が広くなるほど保険料は高くなります。
諸費用のなかでも、住宅ローンの諸費用は金融機関ごとの差が大きい分野です。
事前にどの程度かかるのか確認しておきましょう。
逆に印紙税や登録免許税は税金なので金額が決まっています。
③購入後の諸費用
- 引っ越し代
- 不動産を取得したときに発生する「不動産取得税」など
住宅購入には、定期的にまとまった現金が必要なことが分かります。
ここでは土地を購入し、一戸建てを建てるというケースをご紹介しましたが、マンションや建売住宅では土地購入代金を先行して支払う必要がないので、支払い方法はもう少しシンプルになります。
土地の登記や住宅ローンの事務手数料など、住宅購入でかかる諸費用をローンで借りるという方法もあります。
ただこういった「諸費用ローン」は住宅ローンほど低金利ではありませんし、取り扱いも限られています。
仮に物件価格が3,500万円ならば、200万円程度が諸費用の目安です。
もし頭金を入れる余裕がない場合も、諸費用は現金で用意しておきたいですね。
毎月返済額の目安は
安心して住宅を購入するためには、返済のイメージをつかみ、返済可能な額を借入れすることが有効です。
とはいえ、安心な額をどう見極めればいいのでしょうか。
年間の収入と返済金の比率を一定以下に抑える返済負担率と、毎月返済額の具体例で考えてみましょう。
1. 返済負担率から見た返済額
返済負担率とは、年収に対する総返済額の割合のことで、一般的には35%以内が適当とされます。
ただし、フラット35では、年収により返済負担率が、年収400万円未満ならば30%以下、400万円以上で35%以下という基準が定められています。
年収500万円の人ならば、年間負担率ごとの年間返済額は以下のようになります。
負担率割合 |
35%以下 |
30%以下 |
25%以下 |
20%以下 |
年間総返済額 |
175万円以下 |
150万円以下 |
125万円以下 |
100万円以下 |
返済負担率30%や35%といった数値はあくまで基準であって、必ずしも無理なく返済できる割合というわけではありません。
返済負担率が高くなればなるほど月々の返済額が増えるため、現実的には、生活のことも考えて20%以内に収める方が多いようです。
今後の貯蓄や支出増も想定して、余裕を持った返済負担率を考えることが大切です。
余裕を持って返済したい場合や、35年ローンではあっても、定年までの期間が短く実質的な返済期間が短いといった場合は、20%以内と厳しくするといいでしょう。
自動車ローンや奨学金の返済があるようなときはそれらの返済額も含めて計算します。
そのため、借入れから数年のうちに自動車をローンで購入しようと考えているような場合は、そちらの返済額も踏まえて考えましょう。
2. 返済額の具体例でイメージをつかもう
前出の例によれば、土地付き注文住宅の購入価格の平均は約3,900万円でした。
もしも、そのうち3,500万円を借入れするとしたら、毎月返済額はどの程度なのでしょうか?
いくつかの金利で簡易的なシミュレーションをしてみました。(
参考:住宅金融支援機構ローンシミュレーション)
※借入期間35年、全期間固定金利、ボーナス返済無しとする
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・金利1%の場合
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毎月返済額9.9万円(総返済額4,150万円)
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・金利1.25%の場合
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毎月返済額10.3万円(総返済額4,324万円)
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・金利1.5%の場合
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毎月返済額10.8万円(総返済額4,501万円)
金利により若干の違いはありますが、3,500万円を35年で返済する場合、毎月の返済額は10万円前後ということになります。
このほか毎年の固定資産税が発生しますので、それを含めて返済イメージを持ってみてください。
返済期間が短くなりそうな場合や、少し負担が大きいかな、という場合は頭金を多めに用意するか、購入価格を見直すなどするといいでしょう。
また、健康面で不安がある場合は、保障の手厚い団体信用生命保険に加入しておくと安心です。
住宅購入に大切なことは
さまざまな費用があり難しく感じるかもしれませんが、大事なのは諸費用を現金で用意しておくことと、毎月いくらなら返済できるかをシビアに考えることです。
そのうえで頭金を上乗せする、購入価格を見直すなどして調整します。
適正価格を知り、無理のない住宅購入を実現しましょう。