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ZEH特集 番外編① ヒートポンプについて

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今回は、ZEH特集の番外編として、「ヒートポンプ」についてお話しようと思います。
ヒートポンプって何のことかご存知でしょうか?
ちょっと聞きなれない言葉ですが、これを搭載した機器は省エネに最適で、とても素晴らしいシステムなのです。
何がすばらしいのかをわかり易く説明するために、その仕組みを使用した機器をいくつかピックアップして、説明していきましょう。

家庭の必須アイテム エアコンについて

めっきり寒くなってきました。
暖房は当然冬季に行なうものですが、暖房として室内の空気を暖める手段は色々とあります。
家電店の店頭では石油ストーブ、石油ファンヒーター、ガスストーブ、セラミックヒーター、電気ストーブなど、多彩な機器が販売されています。

これらの中から、特にエアコンの特徴をお話ししようと思います。
今や、エアコンはどんな家庭にもある必須アイテムです。

ではまず、エアコンがどのようなものか見ていきましょう。
エアコンの下側には以下のようなエアコンの性能を書いたシールが貼ってあります。

エアコン表示.jpg

シールでは見づらいので、シールに書いてあることを"かいつまんで"書いてみます。

種類          冷房・暖房兼用
冷房能力          5.0 kW
暖房標準能力        6.7 kW
暖房低温能力        6.7 kW
消費電力冷房        1.635 kW
 暖房標準       1.525 KW
 暖房低温       2.210 kW
エネルギー消費効率   冷房  3.06
            暖房  4.39

以下、省略~

エアコンの性能欄には、そのエアコンがどのくらいの電気エネルギーをどのくらいの熱エネルギーに変換できるかを表示してあります。

暖房を例に取ると、

暖房標準能力       6.7 kW
暖房低温能力       6.7 kW
消費電力
 暖房標準        1.525 KW
 暖房低温        2.210 kW

エネルギー消費効率   暖房 4.39

『暖房標準能力:6.7Kw』『消費電力暖房標準1.525kW)』と表示されています。
これは、6.7kWの暖房エネルギーを作り出すのに、1.525kWの電気が必要という意味です。
言い換えると、1.55kWの電力を使って6.7kW分の熱に変えることが出来るということです。

つまりそれは、6.7÷1.525=4.39 という計算から、1の電気エネルギーを4.39倍分の熱エネルギーに変えられるという意味になるのです。
エネルギー消費効率はこうやって計算しているのです。
すごくお得な感じがするでしょう。

逆に、電気を使用した暖房機器の中で、エアコン方式以外ではどんなに頑張っても、1の電気エネルギーからは1以上の熱エネルギーを発生させることは出来ません。

余談ですが、理科が好きな方は、どのくらいの熱量になるのか興味あるでしょう。
ちょっと計算してみましょう。

上記のエアコンを1KWhの電力量で1時間暖房標準運転させて発生させられる熱量は、
6.7/1.525×(60×60秒)=15,816J(ジュール)です。

ジュールではちょっとわかりにくいのでカロリーに変換すると、
15,816×0.24≒3,796cal

ちなみに、エアコン以外の電気式暖房器具を1kWの電力で1時間運転させて発生させられる熱量は、
1×(60×60秒)=3,600J(ジュール)です。

同様にカロリーに変換すると、3,600×0.24≒864cal です。

計算しやすいように双方共にロス無しで計算していますが、これだけの差があるのです。
従って、ランニングコストを考えると、どう考えても他の電気暖房機器と比べるとエアコンの方がお得なのです。


でも、どうしてエアコンではこのようなことができるのでしょうか?
それは、『ヒートポンプ』を利用しているからなのです。

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「ヒートポンプ」って、一体なに?

ヒートポンプっていったい何のことなのでしょうか?
初めてこの言葉を聞く方も多いのではありませんか?
ちょっとヒートポンプについてご説明しましょう。

〔参考〕一般財団法人ヒートポンプ蓄熱センターホームページ

ヒートポンプユニットとは、空気の熱を回収して暖房や冷房に使うことが出来るシステムのことです。


少しだけ難しい説明をします。
気体は圧縮されると熱を発します。
これは自転車に空気ポンプで空気を入れている時や、手押しポンプで風船に空気を入れている時など、ポンプ自体やタイヤや風船が少し熱くなるので経験があるでしょう。
空気のような気体は、ポンプなどで圧縮されると熱を発生するのです。
(もう少し詳しく知りたい方は、分子レベルのお話しになってちょっと難解なので、ネットで調べてください。)

エアコンなどヒートポンプを使った機器はこの原理を利用しているのです。

実際には空気の替わりに別の気体(冷媒)を使うのですが、圧縮して発生した熱を利用して部屋の空気を暖めます。
そして、熱を奪われて冷たくなった冷媒は家の外に持って行かれ、圧力を下げられて更に温度が下がり、冷たくなった状態で外気から熱を回収して温度を元に戻し、再度室内に戻され、圧縮されて高い熱を発生させ、その熱で暖房するという繰り返しを行なっているのです。

ここで、冬は外のほうが寒いのに、どうやって熱を回収するのだろうと疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、たとえ外気温が0℃やマイナスであっても、絶対温度0℃ではありません。
0℃の空気でも熱を持っているのです。0℃よりももっと低い温度から見れば、0℃の空気でも暖かいのですから。
こうやって空気の熱をポンプのように回収して暖房に利用するので、ヒートポンプと呼ばれているのです。

実際、エアコンの場合、電気エネルギーをそのまま熱に変えるのではなく、電気は冷媒を圧縮するために使っているのです。
電気を使った暖房器具には、電気ストーブや電気式オイルヒーター、セラミックヒーター、電気式床暖房などの製品がありますが、どれも電気エネルギーをそのまま熱に変換する能力しかありません。
従って、どんなに頑張っても1の電気エネルギーからは1以上のエネルギーは生み出せません。
ところが、ヒートポンプを利用した暖房器具が何倍ものエネルギーに変えることが出来るのは、熱自体を大気から回収して室内に取り入れているからなのです。

また、燃焼方式で熱を発生させる各種の機器は、石油ストーブも石炭ストーブも、ガスストーブも、例外なく、燃料自体をそのまま燃焼させて熱に変えるので、1のエネルギーはどんなに頑張っても1以上にはなりません。

このように、使った分以上のエネルギーを生み出すという理由から、エネルギー効率の観点からみるとエアコンが最もお勧めの暖房機器なのです。

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但し、注意点があります。
エネルギーの有効利用の観点から見ると、一概にそうとも言えない事実があるのです。

皆さんが毎日使っている電気。発電所から送電線を使ってご家庭まで送られてくるのはご存知でしょう。
発電の主流である火力発電所は、大半が石油や石炭、ガスなどの化石燃料からエネルギーを熱として取り出し、電気エネルギーに変換する仕組みを持った施設です。
化石燃料を燃焼させて、これを電気エネルギーに変えるとき、どのくらいの効率で電気に変換できると思いますか?

実際のところ、電気エネルギー変換効率は、石炭火力では40%割超、最新のLNG火力では50%割超などと(資源エネルギー庁H24資料より)いわれていますが、実際の設備は最新のものだけではないので、平均すれば37%程度と言われています。
そうすると、私たちが使っている電気は、使うときには既に、元々の化石燃料が持っていたエネルギーの約1/3ほどに落ちていると言うことです。
逆に言うと、家庭で電気を使うだけで、使った電気エネルギーの3倍近くの化石燃料を消費しているのと同じことになるのです。

家庭で使用するエネルギーの大半は、暖房と給湯です。
従って、暖房と給湯で使用するエネルギーを効率よく使えば、効率の良い省エネが可能になるのです。
その為には、例えエアコンを使っても2倍程度の熱変換効率では足りません。

ざっくり計算ですが、最低限、「1÷0.37≒2.7」、2.7倍以上の変換効率のあるエアコンを使わないと元のエネルギー以上の効率は望めないのです。
ZEHではその点も考慮されています。

一次エネルギー算定プログラムでは、エアコンをエネルギー消費効率の良い順に「い」「ろ」「は」と3段階に分けられ、プログラムで計算すると、それぞれについて使用した場合の一次エネルギー消費量が計算されるのです。

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〔参考〕一次エネルギー算定プログラム

※算定プログラムでは、エアコンのエネルギー変換能力を判断するときに、暖房能力ではなく冷房能力で判断します。これは覚えておくと良いでしょう。

表を見ると小型のエアコンのほうが、エネルギー消費効率が高くなっています。
これは、小型のエアコンの方が高効率にしやすい背景があるのでしょう。
ただ、広いリビングに小型のエアコンを何台も並べても使い勝手が良くないですから、実際にエアコンを選ぶ時には、出来るだけ小さく、でも、最も寒い時期に寒くて困らないよう、必要な熱量を計算してエアコンの機種と大きさを決めるのが良いですね。
エアコンの大きさは、冬季の最低外気温と家の断熱性能、想定室内温度がわかれば、電卓でも大体の目安は計算できます。

ところで、エアコンには最も効率よく運転できる能力があります。これが定格能力です。
定格能力の状態でエアコンを回し続けるのが、使用する電気エネルギーを最も効率的に暖房や冷房へと変えることが出来る目安なのです。

ちょっと話がそれますが、電機メーカーさんのエアコンのカタログを見ると、○○畳用などと書いてあります。
実はそれは普通の家、どちらかと言ったら断熱性能が低くて、冬、とても寒い家を想定されているようです。
きちんと断熱された家に住むのでしたら、メーカー基準では機器が大きすぎるのが実情です。

「大は小を兼ねる」という言葉がありますが、エアコンではあまりお勧めできません。
むやみに大きいエアコンを設置すると効率の悪い運転をして省エネ効率が落ちることになりますので、専門の業者に相談してちゃんと計算した上で選定しましょう。

次回は、冷房と給湯へのヒートポンプの利用についてお話します。

<参考記事>

一般財団法人ヒートポンプ蓄熱センターホームページ
住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム

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