家族を育てる家

イノスの家の工務店

お客さまのために自然素材でつくる家を~㈱ハウジング山一船原社長インタビュー~

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今回、兵庫県加古川市にて、地域で先駆けて自然素材にこだわった家づくりをされている㈱ハウジング山一様へインタビューをさせていただきました。

どのような会社ですか?

ハウジング山一は1967年創立、今年53年目を迎える住宅会社です。どんな会社かと聞かれれば、『自然素材の家を造る会社』と言うのが最もしっくりくると思います。わが社のある兵庫県加古川エリアでも、一番初めに自然素材に取り組んだ会社です。

自然素材に取組まれるきっかけは何かあったのでしょうか?

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実は私、化学物質アレルギーです。20年程前、私がこの業界に入ったばかりの頃ですが、現場に行くといつも体の不具合を感じていました。自社の現場だけでなく、他のハウスメーカーや住宅会社の現場に行かせてもらっても同じ症状が出ました。当時はまだシックハウス症候群という言葉はなく、「新築病」などという言葉がチラホラ出ていた時代でした。

そんな中、ある勉強会に参加したら、どうやら新建材の化学物質が原因だろうと教わりました。まさか、住宅用にそのような材料が流通していたとは。そんな材料を使って家を建てたら、自分のようなお施主様にとっては「夢のマイホーム」ではなく「悪夢のマイホーム」になってしまいますよね。
また、自分のような方が全国にたくさんいらっしゃる事も分かり、同じ苦しみを持つ者として、本当の「幸せなマイホーム」を作るべく勉強を始めました。
その勉強をするために、2年以上かけて全国を行脚しました。いろいろな地を訪れ、様々な家の作り方、素材の使い方を勉強してきました。その結果、化学物質を極力排除し、自然素材を可能な限り使う家づくりのやり方を、自分なりにまとめられたのです。しかし、安い新建材を極力使わずに作る住宅は、試算段階でも坪100万円を超すような、当時(約20年前)としては大変高額な住宅になってしまいました。

ご自身で自然素材の家づくりを考えられたのですね

そんなある日、マイホーム計画中の友人から打ち明け話がありました。友人はせっかく家を建てる事になったのにひどく落ち込んでいます。「どうしたのですか?」と聞くと、「実は総合展示場に家族で行ったところ、二人の娘が体の拒絶反応を起こしてしまったのです。展示場にいる間中、二人とも喉が痛んだり涙や鼻水が止まらないのですよ。」との事。「このままでは新しい家に住むのは諦めるしかないのでしょうか。」と私に訴えてくるのです。
私は彼に伝えました。「実は僕は自然素材で作り上げるノウハウは持っているのですが、まだ1軒も自然素材の家を建てたことが無いのです。もし良かったら、自然素材の家の一棟目として、僕に任せてもらえませんか。」

そこから手探りで処方のような事をしました。
まず、友人の娘さんがどういった物質に対して反応が出るのか分からないので、友人には最初、檜の端材を自宅に持って帰ってもらいました。これを玄関に置いてもらい、大丈夫なら次はリビング、寝室に。ダメだったら次は杉で、というように。こうやって少しづつ大丈夫な素材を見つけ出し、その中でも安価に提供できる素材を考えながら、なんとか仕様を決めていきました。結構時間がかかってしまいましたが、約一年後には無事引き渡しまで漕ぎつけたのです。

引渡しの日ことです。ドキドキしながら玄関ドアを開けて中に入った娘さん二人が、室内に入るやいなや、深呼吸をひとつしたかと思えば、いきなり走り回り出したのです。何の症状も出ません。ふたりとも笑顔で家の中を走り回っています。
ご夫婦は、「社長、ありがとう!」と言って号泣されまして、私も一緒に泣いて抱き合いました。この物件が自然素材の家の第一号でしたが、素晴らしい成功体験になりました。

実は、当時父から会社を引き継いだ時、近所の建設会社からは「ハウジング山一の2代目は変な事を始めたぞ。つぶれるのも目の当たりだぞ」と笑われました。でも私は「これからは絶対に自然素材の家しかない」との信念を持っていました。その信念を背景に、この住宅の見学会をさせて頂きました。結果、ご来場が100組を超えるすごい反響で、長い行列が出来たくらいです。そこから数年はずっと紹介に次ぐ紹介で仕事が途切れることがありませんでした。

その後は、素材だけでなくデザインにも力を注ぎました。今でこそシンプルでスタイリッシュなデザインは多いですが、それをいち早く取り入れコストも工夫し斬新な提案を心掛けました。そうこうしているうちに世間が同じようなデザインになってきました。
次には、長く暮らせる飽きのこない家づくり・デザインについてもう一度考え直し、軒を深くして日射遮蔽を考えたり、風の向きを計算して窓を設置したりと、様々に住宅の考え方を工夫してきました。
いつもそんな感じで、業界の一歩先を走っていけるよう、常に勉強を繰り返しております。

お客様の反応・感想はいかがですか?

金額は高くなりますが、建てられたお客様のリアクションはとても良いです。例えば、軒を深くすることで、夏と冬の太陽高度の差をうまく使って、快適な室内環境に利用することができます。また軒が深いほど紫外線による家の傷み具合は少ないですね。

どういう家づくりを大事にされていますか?

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基本はリビングを一番大事にしています。家族がひとつになる場所だからです。今は「核家族」化が更に進んでいるので、余計に家族の「絆」が大事だと思います。

昨今、学校単位・職場単位でも様々な精神面での問題が生じやすい環境にあります。私たちは、設計士としての技術力で、リビングにその解決機能を持たせるようにしたいと考えています。具体的には、家にいれば知らぬうちにリビングに家族が集まるような工夫を設計に織り込んでいきます。人が集まれば、コミュニケーションが取れるでしょう。家族の間でいろいろな問題を解決・解消できる可能性も増えてくるでしょう。
よって、もし予算面で調整が必要ならリビングを優先し、むしろ子供部屋は小さく提案します。子供部屋は寝るだけで十分でしょうと。幼少期は子供部屋では勉強しませんから、ダイニングで勉強させましょう。お子さんの受験が近づけば、おのずと狭い子供部屋の方が勉強に集中できます。また、子供さんが巣立った後には、子供部屋はただの物置になるでしょう。このようなことを忌憚なくお客様とお話しします。

他に大事にされていることはありますか?

最近は「安物買いの銭失い」という言葉も聞きなれないかも知れませんが、家は「一生もの」なので、絶対にそうしてはいけません。例えば総額が100万・200万円高くついたように見えても、10年・20年・50年と住んでいくうちに、結果的には安く済んだ方が良いでしょう。買った瞬間は「安く買えて良かった」としても、あとあと「え、こんなにお金がかかるの?」。これではNGです。ハウジング山一では、自然素材を重視してから、以前お引き渡ししたお施主様宅のリフォームに関しては、消耗品である「水回り(キッチンや浴室などの設備品)」がほとんどです。取り換えに手間とお金のかかる、建具や床の張替えはまずありません。「安い買い物」をしたのかと、「良い買い物」をしたのかは別です。住宅は「安い買い物」ではなく「良い買い物」をしなくてはと思います。

こちらの写真を見て下さい。
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このお施主様のお父さんは大工の棟梁だったのです。しかし鳥取にいるお父さんを新築に呼ぶのは大変で、結局断念したそうです。その後、そのお客様はハウジング山一に家づくりを任せて頂けたのですが、家の資料を見たお父さんは「こんな安い金額で出来るわけない。きっと材料が悪いか・大工が三流かのどっちかだ」と仰られたそうです。上棟後、鳥取からお父さんが心配で見に来られました。材料や技術を見ていたお父さんは一言、「すごく良い腕と材料だ」と。そして、「これだけの腕と材料でこの値段。お宅のところは儲かっていないだろう。」と仰って頂きました。

私は「儲けたくてやっているというより、好きでやっているので、ずっとこんな家づくりを続けさせてもらっています」とお答えしました。非常に歯の浮く話ですが、実話です(一同笑)。

イノスグループにはなぜ加盟されたのでしょうか?

ハウジング山一はもともと先代が分譲事業を手掛けていましたが、私の代に移ってから注文住宅を手掛けていこうと考えていた時にイノスを知りました。木造住宅では日本一と思う住友林業が技術・ノウハウを提供してくれるグループと知り、入会を決断しました。ちなみに日本は木造住宅の分野では最先端で、一番しっかりしているのですから、住友林業は「木造世界一」に等しいですね。

最後に、お客様に向けて家づくりのアドバイスをお願いします。

家づくりは多額の費用が掛かります。新築の前に、将来の収支シミュレーションをしっかり行って、自分たちの老後にもきちんとお金の残る計画をぜひ作って下さい。特にお子さんがいらっしゃれば学費なども含めた将来のシミュレーションをして、家づくりに臨んで欲しいです。コストを抑える事は悪いことではないでしょうが、きちんと計画すれば、むやみやたらに怖がる必要はなくなります。しっかりとした計画を前提に、安心できる喜びの大きな家づくりをして頂きたいです。
ハウジング山一でもファイナンシャルプランナーによるライフプラン相談・ご提案を行い、「根拠のある」資金計画をお勧めしています。

イノス担当者より

自然素材と優れたデザインが魅力のハウジング山一。お客様の予算を少しでも良い家づくりに使おうと、敢えて経費を抑えた少数精鋭での経営スタイルを貫いて来られています。お客様の満足を最優先するそのスタイルは、われわれ大手企業の見習うところです。
これからもハウジング山一の自然素材・デザインとイノスの技術力でコストパフォーマンスの良い家づくりを普及して頂きたいと思います。

取材協力:㈱ハウジング山一
https://h-yama1.com/