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はじめての家づくり

性能の良い住宅ってどんな家?

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『性能の良い家に住みたい』と考えている人は、どの性能を強化したいと考えているでしょうか?人によっては「地震に強い家に住みたい」という人もいれば、「省エネな家に住みたい」とそれぞれだと思います。『地震の多い日本なら、やはり地震に強い家をつくりたい。』『省エネが気になるので、電気代などがあまりかからない家にしたい。』『健康に良い素材を使った家にしたい。』などいろいろ考えることができると思います。

住宅の性能を知るには

住宅の性能とは何のことを示しているのでしょうか?
『建物の地震に対する強さ?』『住まいやすさ?』『エネルギーをあまり使わないこと?』 などいろいろ思い浮かぶと思います。そこで性能をわかりやすくしている仕組みを紹介します。

一つ目は平成12年にできた『住宅性能表示制度』です。10の分野で、等級というモノサシによって住宅の性能を数値化することでわかりやすくしています。
1. 構造の安定
2. 火災時の安全
3. 劣化の軽減
4. 維持管理・更新への配慮
5. 温熱環境・エネルギー消費量
6. 空気循環
7. 光・視環境
8. 音環境
9. 高齢者等への配慮
10. 防犯

二つ目は平成21年6月より施行された『長期優良住宅認定制度』。やはり認定基準があり4つの項目を等級でわかりやすくしています。
1. 劣化対策
2. 耐震性
3. 維持管理・更新の容易性
4. 省エネルギー性
等級は数字が大きいほど性能が良いということになります。

地震や風、積雪などを考慮した時の構造躯体の倒壊のしにくさを表しています。梁の太さ(梁成)、筋違いや耐力壁の配置、バランスなどを表現します。耐震に関しては構造図面を見てみてもわかりづらいからこそ、第3者による評価として数値化することが大切だと思います。
今回は省エネルギーに関して細かくお話しします。

温熱環境・省エネルギー性能とは

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外壁や窓からの熱の損失をどれだけ防止できるかを表現したものです。
エネルギーをできるだけ使わないような生活をこれからはしていきたい、と思う人も多いと思うのですが、その考えから家の性能を上げようと考える人はいないのではないでしょうか。
最近の夏の暑さは40℃を超える地域も出てきました。そんな中で、省エネだと言ってエアコンを付けずに我慢する生活は省エネにはつながらないと思います。
昔から冬場にこたつや囲炉裏、ストーブなど局所的な暖を取る生活をしています。省エネという考えがない時代に、家全体を温めるという感覚があまりなかったとも言えるでしょう。そのことでヒートショックが生まれやすくなっています。ヒートショックとは急激な温度の変化で身体がダメージを受けることです。

特に浴室やトイレなどは間取りの関係で北側にあることが多いため、どうしても温度が低い傾向にあります。そのため局所的な暖を取る傾向にある生活をしている日本人としては、暖かい部屋から寒さを我慢しながら移動することで体が冷え、浴槽に浸かることで体温が上昇し血管の収縮、心臓への負担等が起こります。

温度の変化を防ぐには

夏の暑さ、冬の寒さについてエアコンなどの暖冷房器具だけで過ごすことは体調のためにも仕方がないことのように現状の日本ではなってしまっています。古い住宅ではほぼ1年中エアコンが起動しているようなことはないでしょうか。それは、外気が家の中に入り込み、家の中と外気がほぼ変わらないためです。
ではどうすれば外気を部屋の中に入れずに、快適に過ごすことができるのでしょうか。
壁や屋根、床、開口部があれば温度は逃げたり、侵入したりします。空気の伝導によりによりどうしても室内の温度は変化してしまいます。その変化をできるだけ抑えるために断熱材を充填し、開口部を強化するのです。(開口部とは窓、玄関といった部分になります)

こから熱は逃げていくのか

冬場の数字で見ていくと外壁からは19%、屋根から6%、床から10%、空気を入れ替えるための換気から17%、開口部からは48%熱が出ていくと言われていということから、開口部の熱損失の多さを感じることができると思います。
では熱が多く逃げていく開口部を強化するためには、どのようにしたらよいのでしょうか。

窓の種類にはアルミサッシと樹脂サッシ、木製サッシと何種類かのサッシがあります。その中でも一般的なものはアルミサッシです。アルミは熱を伝えやすいため、サッシ自体が結露してしまうということがあったと思いますが、熱を伝えやすいという弱点を補うため、外部がアルミで室内側が樹脂である複合サッシが最近の主流になってきています。更に性能を求める場合に樹脂サッシを使用することが多くなっています。北海道で使用しているサッシは樹脂サッシが主流です。

サッシの次に重要なのがガラスです。ガラスの性能はガラスの枚数、空気層やガスの種類といったことで上がっていきます。単板ガラス(1枚ガラス)の時代から、今は二重、三重とガラスを重ねていき、重ねたガラスの間に空気層やアルゴンガスなどを入れることによりガラスの性能が上がっていくのです。

壁や屋根の断熱

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では、なぜ断熱を強化することが省エネにつながるのでしょうか。
数年前から住宅の壁や屋根裏部分に充填する断熱材の厚さが厚くなってきています。断熱材の厚さを厚くすることは、『外気を部屋の中に入れない』『部屋の中の温度を外気に逃がさない』という効果があります。
日本では外壁の断熱材の充填についても徐々に強化する方向性にありますが、ヨーロッパ等の基準からすると、まだ強化する必要がある基準です。断熱の考え方は工務店によって変わってきているので、きちんと確認をしていかなくてはいけない事項になってきています。

断熱材には一般的なものとしてグラスウールがあり、その他には紙素材のセルロースファイバーや発泡吹付けウレタン断熱、自然素材の羊毛や木の繊維、発泡系断熱など様々です。各断熱材によって性能は異なりますので、一定の性能値を満たすために必要な厚みで施工しなくてはいけません。
断熱材の必要な厚みに関しては計算すればわかるものなのですが、施工をきちんとしないとその性能を発揮することができません。また、断熱だけでなく気密(隙間)に関しても注意しなくてはいけません。

寒い家は断熱材が入っていないだけでなく、隙間が多いため、家のいたるところから隙間風が入り、家の中が寒くなっています。その隙間風を防ぐための処理が気密施工になります。
気密施工をすることは逆に当たり前だということで法律にも盛り込まれなくなってしまいました。気になる方は気密測定を実施されることをお勧めします。

性能のよい家づくり

断熱、気密、開口部の強化を施すことで省エネ住宅と言われるものになります。太陽光パネルを屋根にのせることで、創エネ、蓄エネを行い電気代ゼロに近い家づくりも可能です。
断熱を強化するとどうしても施工単価に直結してしまう話ですが、家を少しでも小さく作ることで施工単価を抑え、新しい家に入居してから発生する光熱費をできるだけ抑えることが、今後の省エネにつながっていくと思います。
性能を良くすることで、体に優しく、お財布にも優しい。そんな家をこれからの時代、建てていきませんか。