老後資金の確保に自宅を活用する方法
インフレや社会保険料の増加などに伴い、老後資金に対する不安は年々増加しています。さまざまな対応が考えられるなか、住宅を購入した方に関しては、自宅を活用して老後資金を調達する方法があります。その代表的なものが「リバースモーゲージ」と「リースバック」です。
今回は「リバースモーゲージ」と「リースバック」のそれぞれの仕組みや違い、比較のポイントについてお伝えします。
リバースモーゲージ
リバースモーゲージとは、自宅を担保にして、年金や一時金で生活資金の融資を受ける制度です。自宅にはそのまま住み続けることができ、自分または夫婦死亡時に、融資金を一括返済するため、生存中は利息の支払いのみで、元金を返済する必要はありません。
メリット
◯自宅に住み続けながら、生活資金の融資を受けることができる
◯生存中は元金を返済する必要がない
◯利用時の収入要件などが住宅ローンの借り入れなどに比べて比較的緩やか
デメリット
◯対象の住宅に制限がある(一戸建てであること、利用できる地域が限られることなど)
◯推定相続人全員の同意が必要となる
◯融資の金利は基本的に変動金利のため、金利が上昇すると、返済額が増える可能性がある
◯3年ごとに土地を再評価するため、貸付期間中に貸付限度額が下がる場合がある
◯長生きすると生存中に貸付限度額に達してしまう恐れがある
※詳細や対応は金融機関などによる。
リースバック
リースバックは、不動産を売却してそのまま自宅に住み続けるための方法です。利用者が自宅をリースバック事業者に売却し、その後家賃を支払いながら住むことができます。
メリット
◯自宅売却後も家賃を支払うことで自宅に住み続けられる
◯すぐに現金化でき、生活資金を確保できる
◯自宅を所有していた時にはかかっていた税金などのランニングコストを軽減できる
デメリット
◯住宅の所有権を失うので、賃貸生活を始める必要がある
◯売却価格が相場よりも安くなる可能性がある
◯家賃が相場よりも高くなる可能性がある
◯賃貸期間は無制限ではなく、契約期間に制限がある
※詳細や対応は事業者などによる。
2つの仕組みの違いと比較ポイント
リースバックとリバースモーゲージ、2つの仕組みの主な違いや比較のポイントについて、以下にまとめました。
- リバースモーゲージとリースバックの主な違い
- リバースモーゲージとリースバック比較のポイント
1.所有権の移転
リバースモーゲージは住んでいる期間中も所有権が載りますが、リースバックは売却するので所有権は移転します。住宅の所有権を維持したい場合、リバースモーゲージが適しています。
2.資金の使途
リバースモーゲージは自宅を担保に資金を借り入れるので、使い道は金融機関等が認めるものに限られます。反対にリースバックは借り入れではなく自宅を売却して資金を受け取るので、使い道は自由です。制限なく資金を使用したい場合は、リースバックが適しています。
3.利用条件
リバースモーゲージは融資の一種であるため、担保にできる不動産に制限(一戸建てであること、利用できる地域が限られることなど)を設けていることが多く、また利用者の年齢制限があるなど、さまざまな条件があります。リースバックにも審査はありますが、融資とは違うため、一般的にはリバースモーゲージよりも緩やかなことが多いです。そもそも自宅や自身の状況が、利用したい仕組みの条件に当てはまるのかどうか事前に確認することが必要です。
まとめ
今回は「リバースモーゲージ」と「リースバック」のそれぞれの仕組みや違い、比較のポイントについてお伝えいたしました。老後資金の確保に自宅の活用を検討したい方は、いざ必要になったとき慌てないためにも、自分に合った形をあらかじめ把握しておきましょう。