お家で発電!~エコなエネルギーと電気の話~
電気料金の負担は、年々増えてきていますよね。その対策として、お家で発電し、エコな暮らしで電気料金を削減する方法もあります。今回は、電気や再生可能エネルギー、住まいにおける自家発電(住宅発電)やそれを補助する制度などについてお伝えしたいと思います。
1.電気料金の推移
公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が算出している新電力料金目安単価(消費電力の計算基礎として電気製品のカタログ等に掲載されている目安単価)が2014年4月28日に22円から27円へ、2022年7月22日に27円から31円(1kWhあたり)へ引き上げられており、資源エネルギー庁の統計でも下表のように増加する傾向にあります。
2.電気料金の内訳
「基本料金」:契約容量(アンペア数)によって決められ、電力供給の基本的コストである電力メーターや設備の維持管理費用などに充てられる固定料金です。
「電力量料金単価」:契約プランや時間帯(昼間・夜間)別などによって決められ、電気使用量に応じて支払う料金の1 kWhあたりの単価です。
「燃料費調整単価」:原油、LNG(液化天然ガス)及び石炭の価格変動に応じて調整される単価です。
「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」:再生可能エネルギーの普及支援※のために設定され、電気使用量に応じて支払う賦課金の1 kWhあたりの単価です。
※再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT:Feed-in Tariff)
再生可能エネルギーの調達に関する特別措置法に基づき、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を一定期間・一定価格で電力会社が買い取ることを義務付ける制度です。
3.現在実施されている電気料金補助制度
(2025年7月1日現在、資源エネルギー庁ホームページより)
「電気・ガス料金負担軽減支援事業」:電力会社などが利用者に請求する月々の料金から使用量に応じた値引きを行います。主な内容は以下のとおりです。
1)利用者からの申請:不要
2)値引き実施期間:2025年7月使用分~9月使用分
3)値引き単価:
①2025年7月使用分 2.0円/ kWh(低圧)
➁2025年8月使用分 2.4円/ kWh(低圧)
③2025年9月使用分 2.0円/ kWh(低圧)
4.電力供給のしくみ
2016年4月に電力の小売りが全面自由化となり、電力事業者の類型も「発電事業者」「送配電事業者」「小売電気事業者」の大きく3つに分けられています。
1)発電事業者:発電した電気を小売電気事業者等に供給する者
2)送配電事業者
①一般送配電事業者:発電事業者から受けた電気を小売電気事業者等との契約に基づき、一般需要者に供給するため、送配電を管理する者
➁送電事業者:一般送配電事業者に電気の振替供給を行う者
③特定送配電事業者:特定の供給地点において、自社で発電した電気を小売電気事業者や一般送配電事業者に託送供給する者
3)小売電気事業者:一般の需要者に電気を小売りする者
5.住宅発電
住宅に発電設備を設置して自家発電することを住宅発電と呼ぶことがあります。
再生可能エネルギーから発電する省エネの取り組みや停電対策など非常時の備えとして活用が期待されています。
1)再生可能エネルギー:主に下記のような種類があります。
2)太陽光発電
規模に関係なく発電効率がほぼ一定であること、設置する場所の広さに合わせて、既存住宅にも設置可能であること、発電時に騒音が出ないこと、非常用電源としても利用できることなどから、住宅への導入に適しているといわれ、近年設備が低価格化してきている太陽光発電について、説明いたします。
①しくみ:一般的なしくみは下記のとおりです。
ⅰ)太陽の光エネルギーを太陽電池モジュールが、電気エネルギーに変換します。
ⅱ)太陽電池モジュールで発電した直流電力を接続箱にまとめて、パワーコンディショナーへ送り、家庭で使える交流電力に変換します。
ⅲ)変換された交流電力は、分電盤を通じて各部屋等の配線へ送られ使用されます。
ⅳ)余剰電力を蓄電池に充電したり、電力会社へ売却したりすることができます。
ⅴ)電力会社から購入した電力量や売却した電力量は電力量計で計量されています。
ⅵ)停電等の非常時には、パワーコンディショナーの自立運転機能スイッチを用いて発電された電力を利用することや蓄電池に蓄えられた電力を使用することができます。
➁再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)による買取価格と買取期間
住宅用太陽光発電(10kW未満)の価格と期間が以下のとおり示されています。
③補助金制度
太陽光発電設備の設置単体では、現在、補助金は交付されていないのが現状です。
しかし、蓄電池と併設する場合やZEH住宅に設置する場合※などに補助金が交付される傾向となっています。
また、国、都道府県、市区町村でそれぞれ補助金制度があり、要件を満たせば、それぞれから複数の補助金が受けられます。
※ZEH補助金
ZEH住宅とは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅」をいい、ZEH住宅の新築・購入、リフォームをしたときに太陽光発電設備や蓄電池設置を併せて実施等すると補助金が交付される制度があります。
6.まとめ
太陽光発電は、設備の定期的なメンテナンス等が必要となりますが、地球環境に優しく、光熱費を抑制できることから家計にも優しいシステムです。今回は、電気や再生可能エネルギー、住まいにおける太陽光発電やそれを補助する制度などについてお伝えしました。エコなエネルギーを活用して、お家で発電し、地球と家計の両方を助けていきましょう!