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冷暖房に頼りきらず快適に過ごしたい!省エネルギー住宅「パッシブハウス」とは?

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エコが重視される現代、家づくりにおいてもその視点は欠かせません。
省エネルギー住宅はエネルギーコストを抑えられるだけでなく、自然エネルギーをうまく生かした快適な生活が営めるからです。

そこで注目したいのが「パッシブハウス」。
省エネ性能認定基準を満たした省エネルギー住宅です。いつまでも心地よく暮らすために知っておきたいエコのこと。今回は、冷暖房に頼りきらないパッシブハウスについて見ていきましょう。

世界レベルの断熱設計「パッシブハウス」って?

パッシブハウスとは、ドイツのパッシブハウス研究所がつくったサスティナブル(持続可能の意)な建築メソッド
高機能ガラスや断熱材を活用することによって高気密な建物をつくり、人工的な冷暖房に頼りきることなく快適な生活を営むための家づくりです。

パッシブハウスでは、特定の工法や建材に頼るわけではなく、家を建てる場所の気象データをもとに計算式を使い、最適な建物を導きます。
また、パッシブハウスとして認定されるためには、同研究所が定めたエネルギー消費基準を満たすことが必要です。

冷暖房機器に頼った生活が当たり前になった昨今。
例えば、真冬に暖房機器をつけっぱなしにしなくても、暖かく快適に過ごせる家はイメージできるでしょうか? 
また、真夏のうだるような暑さのなか、冷房機器に頼らなくても涼しく心地よく過ごせる家はどうでしょう?
そんな家を可能にしてくれるのがパッシブハウスなのです。

冬は暖かく、夏は涼しく
光熱費を抑えながら快適に暮らしたい。
家づくりの技術を駆使し、自然のエネルギーを活用した快適な暮らしを提供する省エネルギー住宅。
快適な暮らしと省エネの両方を実現してくれるパッシブハウスが増えれば、地球にやさしい世界になっていくと考えられています。

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パッシブハウスのメリットとは?

6畳用エアコン1台で、40坪の2階建て一戸建てを全館空調できる性能があるとされるパッシブハウス。
省エネで光熱費を抑えられることはもちろんですが、快適かつ健康に暮らせるメリットが大きいといえるでしょう。

エアコンの温度設定や風量を抑えることができるため、部屋が乾燥しすぎることもなくなります。
もちろん、乾燥対策に加湿器に頼りきることもなくなるでしょう。
また、壁や窓の表面温度が高まることで、どれだけ部屋を温めても足元が寒いといった悩みもなくなるはずです。

このように、パッシブハウスでは、環境問題への対策と快適で健康な暮らしの両方を実現できるメリットがあるのです。

パッシブハウスの設計5つの原則

パッシブハウス認定住宅は、設計・施工において独自の基準を守って建てられます。
そのため、パッシブハウスに認定されるための原則を守った家づくりが必要です。
では、どういった原則がパッシブハウスに欠かせないのでしょうか。
パッシブハウス5つの原則を見てみましょう。

夏は遮熱、冬は熱損失を防ぐ「断熱」

パッシブハウスを建てる際に、真っ先に考えなければならないのが「断熱」です。
パッシブハウスの特徴は、壁・床・天井がまるで毛布に包まれているかのように断熱材で覆われていること。
もしくは、断熱性の高い軽量気泡コンクリートブロックやプレハブフォームパネルなどの素材が用いられます。
適切な断熱を重視しており、夏は遮熱(しゃねつ)を、冬は熱損失を防ぐために、断熱は欠かせません。

断熱と風通しを考えた「高機能な窓」

断熱には、窓への工夫も必要です。
窓の機能性を高めて、窓から熱が逃げるのを防ぎます。
窓枠の断熱はもちろん、複層ガラスや低放射率ガラスの使用も条件として定められています。
また、南向きの大きな窓を設けることで、冬は太陽熱を取り込み暖房がわりに。
北側に高い窓を設けることで、夏の熱気を逃がす道として活用するなど、窓への配慮も原則として採用されています。

断熱性能を下げる原因となる「熱の逃げ道を防ぐ」

熱の逃げ道があると、建物全体の断熱性能が下がってしまうことに。
例えば、外壁と内装壁の間にある金属製の窓枠などは、面積的にはわずかだったとしても熱が逃げる原因になります。パッシブハウスでは、熱の逃げ道を排除する設計・施工も求められるのです。

隙間風も吹き込ませない「高気密」

気密性が低い建物では、隙間風が吹き込んできます。
また、室内の暖かい空気が外へ逃げてしまうこともあるでしょう。
パッシブハウスの家づくりでは、接合部分をしっかりと気密化し隙間をなくします。
また、気密性を高めることによって暖房に頼らない生活が送れるようになり、温室効果ガスの排出を抑えた家づくりができるのです。

室内外の通風・換気を行う「熱交換換気」

高気密なパッシブハウスでは、室内外の通風・換気への配慮が必要になります。
HRVと呼ばれる熱交換換気システムを用いることも、パッシブハウスの原則のひとつ。
室内の空気のよどみや空気の質を改善するだけでなく、寒い季節には結露も防いでくれるなどのメリットもあります。

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パッシブハウスを検討する際に考えるべきこと

環境にやさしく住む人の体にもやさしいパッシブハウスですが、その認定基準が厳しいことから、検討する際には考えておくべきこともあります。

建物への予算確保が必要になる

住む土地をはじめ、家ごとに適した断熱機能は異なるため、パッシブハウスは完全フルオーダーの住まいとなります。また、パッシブハウスを建築するためには、5つの原則など、認定基準をクリアするための配慮が必要です。

一般的な家を建築するのに比べて、およそ15~20%の費用アップが予想されます。
内装などの工夫で費用を下げることも可能ですので、建物の予算については工務店や設計事務所に相談してみましょう。

環境条件に優れた土地を探す必要がある

狭小地や南側に高層マンションが建っていたとしても、パッシブハウスでは燃費計算したうえで設計するため、基本的にはどんな土地でも建てることはできます。

しかし、日射が得にくいなど不利な立地に建てる場合は、どうしても費用が高くなってしまいます。
また、防火規制の厳しいエリアでは、性能の高い窓を使用できないケースもあります。
そういった点から、理想的なパッシブハウスを建築するためには、環境条件に優れた土地を探す必要があるといえるでしょう。

ある程度の間取りの配慮は必要

認定基準が厳しいパッシブハウスだけに、間取りの制約も多いのでは?と感じる人もいるかもしれませんが、基本的には間取りは自由に設計できます。

ただし、表面積が小さいデザインのほうが少ないエネルギーでも快適性がアップしますし、冬場は南の太陽をたくさん取り入れたほうが、エネルギー効率がよくなります。
満足できる家づくりのために、そうした間取りへの配慮は推奨されています。

パッシブハウスは未来に向けた家づくりのかたち

省エネと快適な暮らしの両方を実現してくれるパッシブハウス。
家計にやさしく地球にもやさしいエコな家づくりは、未来に向けた家づくりのかたちでもあります。


家族が末永く暮らして行くマイホームは、健康にも配慮したエコな住まいでありたいもの。
「省エネ=生活コストの削減」と限定的に考えるのではなく、未来に向けた健やかな暮らしをイメージしながら、パッシブハウスの知識を深めてみてはいかがでしょうか。

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