ZEH住宅は結局お得なの?損なの?かかる費用と光熱費削減効果をチェック
環境に配慮した省エネ住宅「ZEH(ゼッチ)住宅」は、光熱費が抑えられることでも注目されています。一方で、従来の住宅より高くつくと聞き、いざ建てるとなると悩んでしまう人もいるようです。性能の良い家の費用が多少上がるのは当然のことともいえそうですが、結局従来の家に比べて高くつくのでしょうか? 安くなるのでしょうか?
最新の省エネ住宅「ZEH住宅」とは?
ZEH住宅とはどのような住宅なのでしょうか。ZEH住宅は省エネ住宅の一種ではありますが、省エネ住宅のうちでも特に基準が厳しい家といわれています。主な特徴は次の3点です。
- 断熱材や断熱性の高い窓ガラスなどを採用することにより高断熱
- HEMS(ヘムス)という電気の使用量を見るためのシステムや、高い省エネ性能のエアコンなどの利用によりエネルギー消費を抑制
- 太陽光発電のような再生可能エネルギー導入によりエネルギーを創出
以上により、「年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指す」住宅が、ZEH住宅です。
従来の省エネ住宅の「省エネ」に加え、「創エネ」することにより、格段に光熱費が抑えられるといわれています。反面、これまでの住宅より費用が高くつくのも確かです。なぜ高くなるのでしょうか。また、結局得するのでしょうか、損するのでしょうか。このあと詳しく見ていきます。
なお、エネルギー効率がいい省エネ住宅は、ZEH住宅以外にもあります。省エネ住宅について広く解説した記事『エネルギーをかしこく使う家。注目のスマートハウスとは?』をご参照ください。
ZEH住宅はなぜ高め?
ZEH住宅は高性能の窓や高気密の断熱材などを採用します。また、エアコンや給湯器、換気設備、照明などの機器も省エネ性能の高いものを使用し、さらには太陽光発電など創エネのためのシステムも導入します。そのため、必然的に従来の住宅に比べて高くなるのです。
従来の住宅とZEH住宅との差額がどの程度になるのかは、それぞれの施工内容や状況によっても変わります。一概にはいえませんが、一般的な広さの住宅で一応の目安として300万円程度と考えておくといいでしょう。
ZEH住宅と従来の住宅の月々返済額の差は?
300万円程度といわれても、それが日々の生活にどれくらい影響があるのかはイメージしにくいかもしれません。通常、住宅はローンを組んで購入しますので、月々の返済額で比較してみましょう。
省エネと創エネに関する部分以外はまったく同じ仕様の、従来の住宅とZEH住宅があったとします。価格は従来の住宅が3,000万円、ZEH住宅が3,300万円。以下の条件でいずれも100%ローンを組んだとします。
- 住宅ローン条件
・適用金利 1.2%(全期間固定金利)
・返済期間35年
・元利均等返済・ボーナス払い無し
フラット35のシミュレーションを利用すると、
- 従来の住宅(借入額3,000万円) 約8万8,000円
- ZEH住宅(借入額3,300万円) 約9万7,000円
月々の返済額の差は約9,000円です。
9,000円といえば、例えば4人家族の月々の光熱費にも満たないでしょう。ZEH住宅は「年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指す」住宅ですから、仮に光熱費がゼロだと仮定すると、その程度の差はなくなり、家庭によればさらに黒字になります。
もちろん家庭の状況や天候などの関係で、必ずしも光熱費ゼロになるとは限りません。
しかし、一般社団法人環境共創イニシアチブによる「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会 2019」での報告によると、ZEH住宅での1年間のエネルギーコスト収支は1戸あたり2万4,799円となっており、光熱費ゼロどころか、月々約2,000円の黒字になっています。
さらに、所定の要件を満たせば、経済産業省・国土交通省・環境省の連携による、70万円(2019年度)の補助金を受け取ることができます。
ZEH住宅にかかる費用についてさらに詳しくは、『ZEH特集① ゼロエネルギーハウス(ZEH)は価格が高い?ZEHは本当にお得なの?』もご参照ください。
費用だけに目を向けずあらゆる側面からZEH住宅を検討してみよう
ZEH住宅は、住宅自体の費用は高くなりますが、月々の光熱費削減や補助金などにより、総合するとむしろ安く抑えられる可能性があることがわかりました。もちろん、どのような状況下でも絶対に安いというわけではありませが、ZEH対応住宅「ENETOMOの家」でご確認いただけるように、高断熱・高気密のZEH住宅は、夏は涼しく、冬は温かく快適に過ごすことができます。そういった側面からもよく吟味し、理想のマイホームを手に入れてください。