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将来収支(家計キャッシュフロー表)から考える資金計画

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前回は『後悔しないための住宅ローン借入金額の考え方』について扱いましたが、なかには「月々の住宅ローン返済額や頭金のイメージは把握できたけど、まだどこか不安がある...。」というような、根拠はないけれど漠然とした不安を感じるという方もいらっしゃるかもしれません。

そのような方は、将来の収支状況や貯蓄残高の推移が予想できる「家計キャッシュフロー表」を作ってみることをおすすめします。

家計キャッシュフロー表とは

家計キャッシュフロー表とは、年間の収入合計と支出合計を記載し(万円単位)、毎年の年間収支、貯蓄残高を今後数十年間分作成したものです。これによって「年間収支の赤字が何年も続く時期がないか」、「貯蓄残高が底をつくことはないか」など将来に渡ってのお金の流れを大雑把に把握することができます。

■家計キャッシュフローの例
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作成における参考数値

作成にあたり、どう記入していいか分からない部分もあるかと思います。参考になる数値を以下にまとめさせていただきます。

◯収入に占める支出割合
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◯教育費
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「文部科学省 平成30年度子供の学習費調査」、「令和3年度私立高等学校等授業料等の調査結果について」、「私立学校等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果」、「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」、「公立短期大学授業料等(令和元年度)」、「独立行政法人日本学生支援機構 令和2年度学生生活調査結果」、「大学生協(全国大学生協連)2021年度保護者に聞く新入生調査報告書」をもとに試算(大学の数値は「文系、自宅から通学」の場合)

典型例とその対策

作成した結果、どのような内容になったでしょうか。3つのよくあるパターンとその対策をご紹介します。

①共働き安心型
夫婦共働きのご家庭で多いのが、家計キャッシュフロー表を作成してみたら、思っていたより余裕があるなと感じるケースです。特に夫婦とも正社員で働いていると、二人分の退職金が出たり、年金も多くもらえたりなど老後も安心です。

◯対策
資金面での不安はありませんので、夫婦で住宅ローンを借りて住宅ローン控除のメリットを最大限享受するなど、住宅ローンの組み方を工夫してみるのもオススメです。

②教育費不安型
子どもが大学生の時など、教育費のピークを迎える時期に貯蓄残高が不足するリスクがあるパターンです。教育費のピークを過ぎれば、家計収支も黒字に戻り老後の不安は少なくなります。教育費のピークをいかに乗り切るかがポイントです。

◯対策
教育ローンや奨学金制度などを利用するのも手ですが、まだピークまで10年以上ある方は、学資保険等を活用した教育費の積立てを早めに始めましょう。また、教育費がかかっている間は、繰上返済のペースにも気をつけてください。あまりハイペースで繰上返済をしてしまうと、手持ちの現金が少なくなってしまいます。教育費のピーク時に家計がきつくなるので、注意が必要です。

③前半不安、後半余裕型
子どもが小さいうちは奥様ないしご主人が長時間働けない、もしくは仕事を辞めて専業主婦(夫)になったというご家庭で、今後数年間の収支状況が厳しいケースです。子どもが大きくなった時点で勤務時間を通常時に戻す、復職する前提のため後半は問題ないので、今後数年間をいかに乗り切るかがポイントです。

◯対策
あえて頭金の金額を減らしローンを多めに借りることで、今後数年間は手持ち資金に余裕を持たせることも検討してみましょう。奥様ないしご主人が仕事に本格復帰して世帯収入が増えた段階で、当初多めに借りた分をまとめて繰上返済するという方法もあります。

正確なキャッシュフロー表の作成と分析を行いたい場合は

キャッシュフロー表作成のための参考数値や典型例をご紹介いたしましたが、これはあくまでも一般例で、ざっくりとしたものです。住宅購入にあたり、正確なキャッシュフロー表の作成と分析を行いたいという場合は、その道のプロであるファイナンシャルプランナーに依頼すると良いでしょう。

ファイナンシャルプランナーであれば、正確なキャッシュフロー表の作成と分析から具体的な解決策まで提示することができます。住宅の購入にあたって生じた資金計画に関する疑問も、よりスムーズに解決できるはずです。

まとめ

家計キャッシュフロー表を使って具体的にシミュレーションすれば、問題点や課題がクリアになり漠然とした不安を解消することができます。また、問題点や課題がクリアになれば、それに応じた対策を事前にイメージする事も可能です。

例)

  • もしご主人の給与が下がっても奥様がパートで働けば安心
  • 子どもが私立に進学して教育費が膨らんでも、ご主人が65歳まで働けば安心
  • 教育資金の準備だけ今のうちからしっかり積み立てて準備しておけば安心
  • 月々2万円節約すればなんとかなる など

現時点だけではなく、将来も見据えた資金計画を行い、安心して家作りをすすめていきましょう。