省エネ住宅が標準に!新たな支援制度も!
今年(2025年)4月から、新築住宅等に省エネ基準への適合が義務付けられます。特に、子育て世帯の方は、お子さんの健康のために良好な室内環境を実現することや上昇し続ける光熱費を削減することなどを目指して、より高い水準の省エネ基準を先取りしてみてはいかがでしょうか?今回は、2025年に新設される補助金制度である子育てグリーン住宅支援事業を含めて、省エネ住宅基準等の動向についてお伝えいたします。
1.省エネ住宅とは?
省エネ住宅とは、高断熱・高気密等により、エネルギー消費量を抑える性能(省エネ性能)を備える住宅をいいます。
省エネ住宅は、各種優遇制度があることや電気使用料金等の光熱費を抑えられることなどから経済的にお得であり、健康で快適な暮らしを実現できる住宅です。
(1)主な「経済的にお得」について
①住宅ローン減税:住宅ローンを借りて住宅を新築した場合に、省エネ性能等による借入限度額を上限とする年末の借入残高の0.7%相当額が所得税・住民税から一定期間控除される制度です。
※年間合計所得2,000万円以下、対象住宅の床面積の制限など、その他の要件があります。
②フラット35S:全期間固定金利の住宅ローンです。省エネ性能に応じて、金利引下げメニューがあります。
※子育てプラス等、その他の金利引下げも要件を満たせば受けられます。
③補助金制度:(2024年)子育てエコホーム支援事業、(2025年)子育てグリーン住宅支援事業(後述)、(2024年度)戸建住宅ZEH化等支援事業など、国土交通省、経済産業省、環境省など国の補助金制度やその他、東京都など地方自治体による補助金制度等もあります。
④光熱費の負担軽減:
(2)主な「健康で快適な暮らし」について
①温暖な住環境を実現
WHO(世界保健機構)の住宅及び健康ガイドライン(2018年11月発表)によれば、冬季室温18℃以上の温暖な住環境は、健康へのリスクを回避する可能性があるとされました。
その他、以下のような効果も期待できます。
②寝室での寒さを防ぎ、睡眠の質を向上
③結露を発生しにくくし、カビ、ダニの発生を抑制
2.省エネ性能とは?
(1)省エネ性能に関する2つの基準
省エネ性能を判断する基準には、次のような2つの基準があります。
①外皮性能基準:屋根・外壁・窓などの断熱性能に関する基準
②一次エネルギー消費量基準:暖冷房・換気・給湯・照明設備機器などの住宅で使用するエネルギー消費量に関する基準
(2)省エネ基準の段階的な引き上げ(2021年10月22日閣議決定・エネルギー基本計画等)
2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガスの実質ゼロ)の実現に向けて、日本のエネルギー消費量の約3割を占める住宅・建築物分野への取組みとして、2025年4月から新築住宅等は省エネ基準への適合が義務化され、さらに2030年までにZEH水準の確保へ基準が引上げられる予定です。
①2025年4月から適合が義務付けられる省エネ基準
新築住宅等は、「建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令(平成28年経済産業省・国土交通省令第1号)(基準省令)により規定された、以下の2つの基準に適合する必要があります。
ⅰ)外皮性能基準:「室内と外気の熱の出入りのしやすさの指標」と「太陽日射の室内への入りやすさの指標」から成り、いずれも、地域区分別に規定されている基準値以下となること。
ⅱ)一次エネルギー消費量基準:規定された算定方法等による指標(BEI値)が1.0以下となること。
②ZEH水準(2030年までに確保される基準)
ⅰ)断熱等性能(外皮性能)等級※1:5以上
※1 外皮性能基準における上記指標等により、1~7までの7段階に分けられ、等級が高いほど、省エネ性能が高いことを示します。
ⅱ)一次エネルギー消費量等級※2:6以上
※2 一次エネルギー消費量基準における指標(BEI値)により、1~6までの6段階に分けられ、等級が高いほど、省エネ性能が高いことを示します。
3.子育てグリーン住宅支援事業とは?
2050年カーボンニュートラル実現を目指して、より高い水準の省エネ性能を確保するために、2024年の子育てエコホーム支援事業を引き継ぐかたちで、2025年の新設が閣議決定された補助金制度です。
(1)主な補助対象者は?
①一定の条件を満たすすべての世帯
②子育て世帯:18歳未満の子を有する世帯
③若年夫婦世帯:夫婦のいずれかが39歳以下の世帯
(2)対象となる住宅は?
①すべての世帯:GX志向型住宅*
②子育て・若年夫婦世帯:長期優良*、ZEH水準住宅*
*「GX志向型住宅」とは環境省、長期優良・ZEH水準住宅とは国土交通省、において実施・推進される省エネ住宅のことです。
※1.立地区域等により対象外となる場合があります。※2.住戸の床面積は50㎡以上240㎡以下となります。
(3)省エネ基準は?
①GX志向型住宅:ⅰ)断熱等性能等級6以上 ⅱ)一次エネルギー消費量の削減率(再生可能エネルギーを除く)35%以上 ⅲ)一次エネルギー消費量の削減率(再生可能エネルギーを含む)100%以上 のすべてに適合(※一般地の戸建住宅の場合)
②長期優良・ZEH水準住宅:ⅰ)断熱等性能等級5以上 ⅱ)一次エネルギー消費量の削減率(再生可能エネルギーを除く)20%以上 のすべてに適合
※経済産業省による「蓄電池を設置する場合の補助事業」の併用可
(4)申請方法等は?
①「エコホーム支援事業者の登録」:建築事業者が事前に登録
②「工事請負契約・共同事業実施規約の締結」:補助対象者と建築事業者が締結
③「交付申請」:工事が一定段階に進捗した時点で、建築事業者が支援事業事務局へ申請
④「交付決定」:支援事業事務局の審査を経て、交付決定の通知
⑤「完了報告」:工事完了後、交付申請締切りまでに、建築事業者が支援事業事務局へ報告
⑥「実績報告(請求)」:建築事業者が支援事業事務局へ提出
⑦「補助金交付額確定・補助金の交付」:支援事業事務局から確定通知、補助金の交付
⑧「建築費の精算」:補助金は建築事業者へ振込まれますので、補助対象者へは、建築費の最終支払いへ充当されることにより還元されます。
4.まとめ
今回は、省エネ住宅基準等の動向をお伝えいたしました。新たな支援制度もこれから始まります。お得に、健康で快適な暮らしを実現しましょう!